香辛料を使いこなせるっていいですよね。料理上級者といった感じで味わいに変化をつけられますし、風味を楽しむために塩味を薄くできる点では健康への気遣いにもつながります。
クミンはしっかりクセのある味わいですが、存在感を発揮するのにあまり苦手とおっしゃる方が少ない香辛料ではないかと思います。
思いのほか使われていることが多いので、食べ慣れていることも関係しているかもしれません。

クミンとは
クミンは世界中で広く使われている、代表的なスパイスの一つです。最も口にする機会が多いと思われるのは、カレーパウダーに入っているという用途でしょうか。
インドでは塩味料理のミックス・スパイスやカレー・シーズニングにはたいてい入れられているスパイスです。
クミンはセリ科の植物でその種子を「オールシード」として食べるほか、粉末にして利用されることもあります。
オールシードは長さが5~6mmくらいの楕円形をしていて、縦に筋が入った形状をしています。
香りが強いのが特徴で、わずかに苦みを持ちます。香ばしさを与えてくれるので、料理に深みが出ます。
カレーパウダーのように複数のスパイスと混ぜて使われることも多いのですが、特に味の相性が良いとされるのが同じセリ科植物に属するコリアンダーです。
食用とされているほか、薬用にも利用されることがあります。
クミンの栄養
クミンはまだ「日本食品標準成分表」に登場していない食品です。栄養面については、現時点で分かっていることをまとめておきます。
クミンだけでなく香辛料は一度に使う量が多くはないので、栄養素の摂取という意味合いは薄いでしょう。
しかしクミンにはビタミンB群やビタミンEなどのビタミン類と、カルシウムや鉄分、カリウム、マグネシウムなどのミネラル類も含まれているといいますから、ちょこちょこと料理に足していけば不足しがちな栄養素のたしにはなるかもしれませんね。
なんといっても特徴は香りです。クミンの香り成分は「クミンアルデヒド」といいます。カレーの香りをリードしているのは、この「クミンアルデヒド」です。
クミンの健康効果
クミンは西洋文化では古くから薬用植物としても利用されてきました。下痢や腹痛に使われたり、健胃薬にされたりと食欲を刺激してくれる香りを活かした使われ方がされてきました。
香りの成分であるクミンアルデヒドによって消化器官が刺激されると考えられます。
夏場に暑さにやられて食欲が落ちてくると、元気を出そうとカレーを食べたくなることがありますが、カレーの香りはクミンの香りも大きく影響しているので効果が期待できそうですね。
香りという点では、リモネンという成分も含んでいます。リモネンは柑橘系に多い香りの成分ですが、クミンにも含まれているのです。
リラックス効果があるほか、免疫力を高める働きや血行を促進する効果も知られていて、アロマテラピーでも精油が多用されています。
リモネンにも健胃効果がありますから、クミンアルデヒドとは相乗効果が期待できますね。
クミンで期待される働きに、動脈硬化予防効果が挙げられます。これはクミンが含む植物ステロールによって、食品由来のコレステロールの吸収が妨げられるのではないかと期待されているためです。
ビタミンEなどの抗酸化作用を持つ栄養素を含みつつ、植物ステロールを含むことで複合的に動脈硬化の予防に働きかけてくれるものと期待できます。
クミンの選び方
クミンはブレンドして複数のスパイスと一緒に味わうのが良いので、ご自身でブレンドする自信がなければ、あらかじめミックス・スパイスとなっているものを買い求めるのも良いでしょう。
クミンはクミンシードとして売られているホールのものと、クミンパウダーとして売られている粉末状のものとがあります。
香りがたっているのはクミンシードですが、溶けやすさや使いやすさではクミンパウダーが良いでしょう。
クミンの食べ方
クミンは香りが強いのが特徴ですが、単独で使うとややクセがあるため薬臭いように感じる方もいらっしゃいます。
いくつかのスパイスとブレンドして使うと良いでしょう。ただし、カレーの香りとしてなじみのある香りでもあるため、食欲を増進してくれます。
スパイシーな仕上がりにしたい場合には、パウダーではなくホールで、そのままか少し刻むか挽くかして使うと良いでしょう。
アジアの各国ではよく使われているため、相性の良い食材もいろいろわかっています。たとえばクスクスやチリコンカンに使われるのはメジャーな使用方法。
ソーセージやチーズに混ぜて使われることも多いので、そういった既製品から挑戦してみるのもいいですね。
キャロットラペに加えられるのもよくある使い方。食べ慣れているいつものサラダが一味変わります。
ヨーグルトとも好相性です。ヨーグルトをサラダとして食べたいときにはクミンを混ぜたヨーグルトで野菜を和えると良いでしょう。
クミン まとめ

でも知らず知らずのうちに口にしていると思われるので、決して取り入れにくいものではないと思います。
新たなスパイスにチャレンジして、料理のレパートリーを増やすだけでなく、動脈硬化予防にも役立てていきましょう。