きんかんは、一度食べたことがある方ならそのおいしさを知ってまた食べたくなるけれど、なかなか最初の一歩の踏み出しにくい果物、そんな印象があります。

きんかんの種類
きんかんは、数ある柑橘類の中でも、一番小さいと言っても間違いないと思います。
あまり知られていませんが、きんかんにもいくつか種類があって、古くから食べられていた「寧波きんかん」という皮が薄い品種や、少しサイズの大きい「長寿きんかん」、長細い丸型の「長実きんかん」、丸い形の「丸きんかん」などといった品種があります。
きんかんを一躍人気者にした宮崎県のブランド品種の「たまたま」は、「寧波きんかん」を完熟させたものです。生でおいしく食べられることを追求した品種で、大きくて甘く、食べ応えがあります。
きんかんの栄養
柑橘類は皮に栄養が豊富であるにも関わらず、皮ごと食べるのにあまり向かないものもあります。その点きんかんは、皮ごと丸ごと食べられることが魅力の一つです。
ビタミン類では、β-カロテン、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンEと数々のビタミン類が豊富に含まれています。また皮ごと食べられることから食物繊維の摂取にもつながります。
その他の成分としては、ビタミン様物質と言われるビタミンPのうち、ヘスペリジンという成分を含んでいます。
エネルギー | 71キロカロリー |
水溶性食物繊維 | 2.3グラム |
不溶性食物繊維 | 2.3グラム |
カリウム | 180ミリグラム |
カルシウム | 80ミリグラム |
β-カロテン当量 | 130マイクログラム |
α-トコフェロール(ビタミンE) | 2.6ミリグラム |
ビタミンB1 | 0.10ミリグラム |
ビタミンC | 49ミリグラム |
※ すべて きんかん 全果 生 100グラムあたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
きんかんの健康効果
免疫力を高めることから風邪予防にうれしいビタミンCや粘膜を強くするビタミンAとして働くβ-クリプトキサンチンを多く含んでいますので、風邪をひきやすい寒い季節にぴったりです。きんかんはちょうどその頃、旬を迎えます。
柑橘類の白い筋の部分に豊富に含まれることで知られているヘスペリジンですが、みかんなどでは丁寧に取り除いて食べておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この食べ方は、実にもったいない食べ方なのです。それでもどうしても口に残る感じがお嫌いの方も多いようです。きんかんは丸ごとがぶりと食べるので、ヘスペリジンも容易に摂れます。ヘスペリジンには毛細血管を強くする働きが知られています。
末梢組織の毛細血管が健全であると、血流の改善につながるでしょう。冷えの改善も期待できるでしょう。
末梢まで血液が行きわたり体温は上昇しやすくなりますから、免疫力も上昇すると考えられます。
ヘスペリジンは毛細血管を強くし血流を改善する働きで、動脈硬化や心筋梗塞の予防に効果を発揮します。
また、毛細血管が強くなり収縮作用が高まることは、血圧を下げることにもつながっていきますので、種々の生活習慣病に効果が期待できる成分です。
またヘスペリジンにはビタミンCの吸収を高める効果もあるのですが、きんかんにはビタミンCも豊富に含まれているのでうれしい組み合わせです。
ビタミンCはコラーゲン生成に関与しているため、組織の修復に働くのですが、ヘスペリジンの毛細血管を強くする働きと合わさって、いずれも健康な組織づくりに効果を発揮してくれます。
骨密度の低下を抑制し、骨粗鬆症を予防する効果も知られていますから、この点でも健康な組織づくりに効果を発揮するといえます。
きんかんの食べ方
水溶性ビタミンも多く、ヘスペリジンも水溶性であることから、損失なく摂取するなら生でそのまま食べるのがオススメではありますが、きんかんは昔からシロップ漬けにしたり、甘露煮にしたりと旬以外の時期でも楽しめるように工夫されてきました。
熱にはあまり強くないので、火を通しすぎるのは良くありませんが、酸化にも弱いのでシロップ漬けにすることで外気と遮断するのは良い方法だと言えるでしょう。
このように保存がきくように加工されたものは、甘みも酸味もしっかりと感じることができ、柑橘系のさわやかさも強く味わえるので、お肉のようなしっかりとした料理のソースにしても、味が負けることなく楽しめます。
β-クリプトキサンチンやビタミンEといった脂溶性ビタミン類も含まれていますので、必ず生食しなくては栄養効果が期待できないといったこともありません。ジャムやマーマレードにしてもおいしく召し上がれます。
きんかんの選び方
丸ごと食べるものですので、皮にハリがあって傷がなく、ツヤツヤしているものが良いでしょう。
ヘタは鮮度の見分けがしやすい箇所です。実がしまっているものの方がジューシーで食べ応えがあります。重量感があるか、実にしまりがあるか、持ってみて確認しましょう。
冷蔵庫での保存となりますが、冷やし過ぎても良くありません。野菜室での保管が適しています。
きんかん まとめ

ブランド品種の「たまたま」を見かける時期は限られているのですが、一度食べるとそのおいしさから、売り場で「たまたま」を見かけると買わずにはいられなくなる時期が毎年やってきます。
これまできんかんに縁がなく、まだ召し上がったことのない方は、ぜひ一度、まずは食べてみてください!とオススメしたいです。