パパイアは果物と野菜の両方の側面を持つ利用方法をされている珍しい食べ物で、なおかつ食物酵素の宝庫ともいわれる、可能性を秘めた存在です。
ただし、パイナップルやマンゴーなどの人気の南国フルーツと比較すると、あまり食べられる機会は多くないように思われます。

パパイアの種類
トロピカルフルーツの代表として名が挙がることの多いパパイアですが、果物として食べられているのは完熟した黄色い果実。
酸味の刺激が少なくて、甘みがやわらかく優しい味わいです。輸入ものが多いのですが、国産でも「石垣珊瑚」「石垣ワンダラス」といった品種が知られています。
日本で多く出回っているのは輸入品種の「サンライズ」というパパイヤです。
果肉の色が赤肉で濃い品種で、熟すにつれて色が黄色からオレンジ色になっていきます。果汁も豊富で生食に向いています。
一方で、野菜として食べられることもあります。野菜として食べられるのは、「青パパイア」。
熟す前のパパイアは野菜としてサラダなどにして食べることができます。そのためパパイアのことを「野菜的果実」ということもあります。
パパイアの栄養
南国フルーツ特有の香り高く酸味と甘みを楽しめる味わいながら、パパイアは比較的エネルギーが低い果物です。
果肉の色が赤肉のものは熟して色が濃くなるほど色素成分の摂取が期待できます。
ビタミン類ではβ-カロテン、ビタミンC、ビタミンEの「ビタミンACE」をいずれも含み、抗酸化作用の相乗効果が期待できます。
パパイアは酵素の宝庫ともいわれ、中でもたんぱく質分解酵素を含んでいることで有名です。
パパイアに含まれるたんぱく質分解酵素はそのパワーに期待が寄せられ、食用需要ばかりでなく洗顔料などの化粧品にまで利用されているほどです。
パパイア 完熟 生 |
パパイア 未熟 生 |
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エネルギー | 38キロカロリー | 39キロカロリー |
水溶性食物繊維 | 0.7グラム | 0.4グラム |
不溶性食物繊維 | 1.5グラム | 1.8グラム |
カリウム | 210ミリグラム | 190ミリグラム |
カルシウム | 20ミリグラム | 36ミリグラム |
銅 | 0.05ミリグラム | 0.03ミリグラム |
β-カロテン当量 | 480マイクログラム | 120マイクログラム |
α-トコフェロール(ビタミンE) | 0.3ミリグラム | 0.1ミリグラム |
γ-トコフェロール(ビタミンE) | 0.3ミリグラム | 0.6ミリグラム |
ビタミンB1 | 0.02ミリグラム | 0.03ミリグラム |
ビタミンB2 | 0.04ミリグラム | 0.04ミリグラム |
葉酸 | 44マイクログラム | 38マイクログラム |
ビタミンC | 50ミリグラム | 45ミリグラム |
※すべて100グラムあたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
パパイアの健康効果
完熟したものはβ-カロテンも摂取ができる果実となります。β-カロテンは体内でビタミンAとして働いてくれるため、抗酸化作用によってがんの抑制に働いてくれるほか、皮膚や粘膜を丈夫に保つためにきちんと摂取したい栄養素です。
未熟なものは野菜利用されますが、青パパイアで注目すべきは酵素の働き。パパイン酵素を含んでいます。
パパイン酵素はたんぱく質・脂質・糖質のいずれにも分解能を発揮してくれるうえ、酵素にしては比較的熱にも強いという性質を持つ優秀な酵素です。
酵素を食物から摂取した場合、胃酸は強酸性なので胃を通過しても酵素の活性が損なわれないかという点ではまだまだ効果に疑問符が付くところではありますが、パパイン酵素は酸性環境下でも比較的安定であるとされていますので、酵素の働きに期待が寄せられるのも無理はありません。
エネルギーを産生するすべての栄養素の消化を助けてくれるということは、体内効率を上げてくれます。胃腸にも優しいうえ、ダイエットへの効果も期待できます。
食材としてあわせて食べるだけでなく、下ごしらえなどから積極的に酵素パワーを利用したいものですね。夏場で胃腸が弱っているときにも、消化を助けてくれる味方となります。
抗酸化作用もありますから脂質の酸化予防にもなります。
体内脂質のバランスが崩れている脂質異常症の場合、脂質の酸化は動脈硬化や血栓の出現につながるので避けたい事態です。
抗酸化作用を持つ栄養素や成分を多く含んでいるパパイアでは、この予防が相乗的に働くことが期待できます。
パパイアの選び方
外から見て傷がなく、実に弾力があるかを確認してみましょう。果皮にツヤがあるものは鮮度がよく、しわができてくると古くなっている証なので避けるようにします。
もともと南国で育つ果実ですから、冷蔵庫で冷やすと熟すのをやめてしまいます。
熟させず食べる場合のみ冷蔵庫に入れるようにし、それ以外の場合は冷暗所に置いておくと良いでしょう。
パパイアの食べ方
完熟果実は皮が黄色やオレンジ色になって、甘い香りがしてきたら食べごろです。果皮は薄いので、ナイフで簡単にむくことができます。
青パパイヤは刻んで肉や魚と炒める料理や、酢のものやサラダなどにして楽しむことができます。
なかなか青の果実の状態で売られているのを見かける機会は少ないですが、沖縄のお土産などでは乾物になっている青パパイアなども売られています。
まずはそれらからチャレンジしてみるのも良いでしょう。
パパイア まとめ

それぞれに長所があり、いずれも身体にはうれしい効果ばかりですから、もう少し食卓にのぼる回数が増えても良いかもしれません。
酵素のパワーは未知なことがたくさん。これからも新たな発見があるかもしれないと思うと、目が離せませんね。