みずみずしさとしっかりとした甘さを味わえる桃。人気の果物の一つで、贈答用の需要も多いため、品種も多く存在しています。

栄養面についても整理しておきましょう。
桃の種類
生食用では白桃の種類がたくさんありますが、缶詰などの加工用の黄桃も人気です。
代表品種である白鳳は、人気もあり栽培も多くされています。きめが細かく、なめらかな口あたりです。
酸味が抑えられていて苦みも少なく、甘さを強く感じることができます。果汁もたっぷり。
桃の代表品種である「白桃」と「白鳳」をかけあわせてできた「あかつき」は、栽培面積がトップになるほど、人気品種となりました。
果肉はややかためで、適度に歯ごたえを楽しめます。甘さとジューシーさも兼ね備えている品種。
黄桃の代表品種には黄金桃があります。黄桃品種は種離れの良いものが多く、甘い香りと濃厚な味わいが楽しめます。
桃の栄養
桃の甘さは果糖によるもの。でも、甘さが強い割にはエネルギーが控えめで、水溶性食物繊維のペクチンの摂取も期待できます。また果物の中ではカリウムも豊富に含んでいます。
種に近い部分は赤みがあり、アントシアニンが豊富です。皮の近くにはカテキンも含まれています。
もも 生 | もも 缶詰 黄肉種 果肉 |
|
エネルギー | 40キロカロリー | 85キロカロリー |
水溶性食物繊維 | 0.6グラム | 0.5グラム |
不溶性食物繊維 | 0.7グラム | 0.9グラム |
カリウム | 180ミリグラム | 80ミリグラム |
β-カロテン | 0マイクログラム | 160マイクログラム |
α-トコフェロール(ビタミンE) | 0.7ミリグラム | 1.2ミリグラム |
ビタミンB1 | 0.01ミリグラム | 0.01ミリグラム |
ビタミンB2 | 0.01ミリグラム | 0.02ミリグラム |
ナイアシン | 0.6ミリグラム | 0.3ミリグラム |
葉酸 | 5マイクログラム | 4マイクログラム |
ビタミンC | 8ミリグラム | 2ミリグラム |
※すべて 100グラムあたりの値。
※生のももは、白肉種を指しています。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
桃の健康効果
桃には食物繊維が、水溶性・不溶性ともにしっかりと含まれています。
野菜や果物からは不溶性食物繊維は多く摂れますが、水溶性食物繊維も豊富なものばかりとは限りません。
水溶性食物繊維は水に溶けて粘度を持ち、余分なコレステロールを吸着してくれたり、血糖値の上昇を緩やかにしてくれたりする作用を持っています。
不溶性食物繊維の腸を刺激してくれる作用と、水溶性食物繊維の便に適度な水分を与えてくれる作用で、無理なく排便が促されます。
また体内の余分なナトリウムを排泄するカリウムも含んでいて、排泄効果に適した食材であると言えます。
甘さを楽しめる割にはエネルギーが低いので、ダイエット向きの食材です。整腸作用もありますから、便秘の改善に働いてくれます。
またナイアイシンも豊富です。ナイアシンは糖質や脂質の代謝を助けてくれる栄養素ですから、脂質代謝の改善効果も期待できます。
皮の近くにカテキン、種の近くにアントシアニンを含み、いずれも抗酸化作用を持つことから、相乗効果が期待されます。加えて、抗酸化栄養素である、ビタミンEも含有しています。
抗酸化作用によって脂質酸化を抑制することは、動脈硬化の予防に働きます。
桃にはイノシトールという成分が含まれています。
イノシトールはビタミンB群の一つと数えられることもある有機化合物で、脂肪の代謝を促し、肝臓に脂肪が溜まりにくくするため「抗脂肪肝ビタミン」などと呼ばれることもあります。
この働きによりコレステロール値を下げる作用が期待されます。
桃は夏に旬を迎える果物ですが、夏場の暑さにバテ気味な身体には、果糖が速やかに吸収され、疲労回復に働いてくれます。
失われがちな水分もジューシーな果肉から摂ることができますから、夏にはぜひ食べたい果物ですね。
桃の選び方
ふっくらと全体的にきれいな丸みを帯びているものを選びましょう。皮の赤い部分に白い斑点が出ていると、よく成熟しているサインです。
皮に傷がなく、全体にうぶ毛があるものが良品です。
未熟なときに冷やしてしまうと完熟しないうえ、冷やしすぎは甘さが抜けてしまいますので、完熟までは常温で保存しましょう。
甘さをもたらす果糖は冷やすことで甘みをより強く感じることができるので、食べる2~3時間前に冷やすと、程よくおいしく召し上がることができます。
桃の食べ方
桃は皮をむくと、褐変が始まります。切り分けたらレモン汁をかけるなどすると、変色を防ぐことができますが、食べる直前に皮をむき、早く食べるようにした方が良いでしょう。
熟しきれていなくて甘さが足りず、実もかたいような場合にはコンポートにするのも良いでしょう。
桃には水溶性食物繊維のペクチンが含まれていますが、加熱しても壊れにくいので、摂取が期待できます。
甘さが魅力の桃。果実の上の方が甘いので、切る際には縦にカットすると均等に甘さを楽しむことができます。
果肉のかたい桃は皮を湯むきすることもできます。包丁でむく場合には、上の方から枝がついていた下の方に向かってむいていくと、きれいにむくことができます。
熟すまでは常温に置いて、香りや色づきが十分になったら味わうようにしましょう。完熟前のかたいものは、サラダや冷製パスタなどで楽しむこともできます。
桃 まとめ

甘さのイメージが強いものの、皮付近には緑茶などにも含まれている渋味成分のカテキンを持っています。
皮むきや種を取り除くのがやや難しいものもありますが、皮付近や種付近にある成分もしっかり摂取したいですね。