しいたけはきのこ類の中でも、かなり口にする頻度の多いものではないでしょうか。「マッシュルーム」「ふくろたけ」と並んで、世界三大栽培きのこと言われているそうです。

しいたけの種類
しいたけは傘のひらきかたによって「どんこ(冬菇)」「こうこ(香菇)」「こうしん(香信)」とあって、「どんこ」は傘の開ききっていない丸みのある形、「こうしん」は傘が平たい形、「こうこ」がその中間です。
高級感を求めるのであれば「どんこ」が珍重されますが、栄養面では区別して扱われることはあまりありません。
また、栽培方法によって「原木栽培」と「菌床栽培」があります。原木しいたけは生育適温となる春と秋で旬がありますが、菌床栽培によって年間を通じてしいたけを食べることができるようになりました。
しいたけの栄養
しいたけをはじめ、きのこ類からはエネルギー摂取はほとんどありません。
栄養素として摂取が期待できるのが、ビタミンB1やビタミンB2。そして特徴的なのが、日光を当てるとビタミンDに変化する「エルゴステロール」という成分を含んでいる点です。
その他の成分としては、エリタデニン、レンチナン、β-グルカンといった特異的なものも含まれています。
原木栽培 生 | 菌床栽培 生 | |
エネルギー | 23キロカロリー | 19キロカロリー |
水溶性食物繊維 | 0.4グラム | 0.4グラム |
不溶性食物繊維 | 5.1グラム | 3.8グラム |
カリウム | 270ミリグラム | 280ミリグラム |
ビタミンD | 0.4マイクログラム | 0.4マクログラム |
ビタミンB1 | 0.13ミリグラム | 0.13ミリグラム |
ビタミンB2 | 0.22ミリグラム | 0.20ミリグラム |
※すべて100グラムあたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
しいたけの健康効果
しいたけにはエリタデニンという特有の成分が含まれています。
これは血液中で悪玉であるLDL-コレステロールを下げ、善玉であるHDL-コレステロールを高める働きがあるとされている成分です。
この働きによって、脂質異常症や動脈硬化の予防に効果を発揮してくれるものと期待されます。
豊富に含まれるビタミンDは脂溶性ビタミンの一つで、骨の形成にかかわりの深いビタミンです。
骨といえばカルシウムですが、いくらカルシウムやリンといった骨の成分となる栄養素があってもビタミンDが不足していては、きちんと骨を形成できません。
カルシウムはきちんと摂取したい栄養素でありながら、なかなか吸収率が良くないのが悩ましいところです。
ビタミンDはカルシウムの吸収を良くしてくれるという働きがあり、骨粗鬆症の予防効果があります。
レンチナンは、抗がん剤にも使われる成分です。免疫力を高める働きがあるため、抗がん剤では、治療によって低下してしまう免疫力を補うものとして使用されています。
レンチナンはβ-グルカンの一種です。β-グルカンはきのこ類に多く含まれている成分で、白血球の働きを助け細菌やウイルスへの抵抗力を高めるので、免疫力をつけてくれると考えられています。
しいたけはだしを取るときに利用されるほどうま味成分の多いものでもあります。
うま味成分であるグアニル酸やグルタミン酸には、老化抑制に効果を発揮すると考えられています。
また長い目で見れば細胞やウイルスへの抵抗力をつけることは、生活習慣病予防にも効果を発揮してくれるでしょう。
このように特に現代社会の悩みに心強い成分を含みながらもエネルギーが低く、たくさん食べても肥満を気にしなくてもよい点もうれしいところです。
しいたけの選び方
軸が太くて短いものを選ぶと良いでしょう。高級品とされる「どんこ」で考えるのであれば、ふちが内側に巻き込んでいて、傘に丸みがあるようなものがオススメです。
ちなみにきのこ類は菌糸の集合体である、いわば植物と動物の中間のような存在ですので、生しいたけの鮮度劣化は急速で、すぐにしなびてきてしまいます。
冷凍するとうま味が増すと言われていますので、軸をとって冷凍保存しておく方法もあります。
しいたけの食べ方
日光の紫外線によってエルゴステロールがビタミンDへと変化しますので、食べる前に少し天日干しにするのが良いでしょう。
カルシウムを多く含む乳製品や小魚などと合わせることで骨の強化に心強い組み合わせとなります。脂溶性ビタミンですので、油調理で食べると吸収率は高まります。
きのこ類にはうま味成分が含まれています。しいたけは干しいたけにするほどですので、その代表格ともいえます。
うま味成分は複数混ぜると相乗効果を発揮しますので、肉類や魚介類、昆布やトマトといったうま味成分を含む食材との食べ合わせも楽しめます。
しいたけ まとめ

加えて、ビタミンDがカルシウムの吸収を助けるアシストや、β-グルカンが免疫力を高めるアシストと、縁の下の力持ち的役割もあります。
主役で味わうことは少ないかも知れませんが、名わき役として多くのお料理にご活用ください。