甘味料全般が、甘いから虫歯になりやすいとか、太りやすいなどと敬遠されがちな中で、健康効果も期待されることのあるはちみつはやや特殊な存在ではないでしょうか。
お菓子を作るときにはちみつを使うとしっとりする効果があって、「保水性」に期待されます。
お肌の乾燥が気になる女性からはこの保水性が注目されて、化粧品などにもよく利用されますね。

はちみつの種類
蜂が採集してくる植物によって、れんげ・アカシア・クローバー・さくら・みかん・かき・なたねなど種類がいろいろ存在します。
日本でよく好まれているのはさわやかな風味で香りがあまり強くないれんげのはちみつ。
はちみつの栄養
はちみつは蜂が花の蜜を集めて貯蔵した糖液から花粉や蜜ろうを取り除いて精製したものです。
主成分はショ糖(砂糖)ですが、グラニュー糖などのように精製して糖成分だけを純度高く取り出したものと違い、わずかながらビタミン類やミネラル類も含みます。
また蜂は唾液中に酵素を持っているので、ショ糖を果糖とブドウ糖に分解します。そのため甘みの感じ方や味わいの感じ方に特徴を持っているのです。
蜂が持つ酵素はブドウ糖から有機酸の一種であるグルコン酸も生成します。はちみつに酸味を与えると共に、日持ち向上にも役立っています。
また糖類ではオリゴ糖も含有している点が特徴です。
エネルギー | 59キロカロリー |
炭水化物 | 15.9グラム |
カリウム | 4ミリグラム |
亜鉛 | 0.2ミリグラム |
※すべて はちみつ 20グラム(約大さじ1杯程度)あたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
はちみつの健康効果
有機酸の一種であるグルコン酸は疲労回復効果があることで知られている成分です。
はちみつに含まれている糖は果糖やブドウ糖のように、吸収されやすい糖であるため、エネルギーに変換されやすく、その点でも疲労回復効果が期待できるでしょう。
またグルコン酸は大腸にまで届き、善玉菌であるビフィズス菌を増やす役割を果たします。
腸内環境を整える効果で忘れてならないのがオリゴ糖です。
オリゴ糖のなかには人間の消化酵素では消化されにくいものがあります。これらは大腸にまでそのまま届き、大腸の腸内細菌によって分解されます。
そしてビフィズス菌の栄養源となり、増殖に役立つのです。
腸内細菌には悪玉菌・日和見菌・善玉菌の3パターンが存在するとされています。
もし腸内で善玉菌が優位だと大多数である日和見菌も善玉菌の味方となってくれることで、腸内環境は良好になると考えられています。
善玉菌を元気にする方法の一つが、善玉菌のエサとなるものを与えて、善玉菌を増やすこと。オリゴ糖にはその効果があるのです。
腸内環境を整えることは、今とても注目されている分野。
健康と腸内環境は切っても切り離せない関係で、排便がスムーズにいくだけでなく、種々の生活習慣病の予防や、健やかなメンタルの維持にも腸内環境の整備が効果を奏すとされているのです。
免疫機能の向上も腸内環境が整ってこそ。
消化しにくいオリゴ糖は、エネルギーとはならない点もうれしいですね。
はちみつも砂糖類と比べるとエネルギーは控えめ。でも甘みとコクはしっかり感じることができるので、満足感を得ることはできます。
免疫力の向上では、腸や肌を潤す効果もあります。
乾燥から守ってくれる効果は風邪を遠ざけてくれるのです。
昔から喉風邪のときにはちみつれんこんを食べるなんてことがされてきましたが、これも潤いを与えてくれるから。
空咳が続く場合などにオススメです。
はちみつは喉に優しいイメージ、ありますよね。
はちみつの持つ強い抗菌力は、感染症に対しても抵抗力を発揮してくれるため、喉のような呼吸器系を細菌の増殖から守ってくれるのです。
うるおいだけではなかったのですね。
はちみつの選び方
お好みのものを選んでいただければ良いのですが、はちみつの風味は植物によってだいぶ変わるので、特徴を知っておくと選びやすくなるでしょう。
れんげは上品なコクがあってまろやか、淡い色合いです。クローバーも味にクセがなくて使いやすい種類で、世界で最も生産量が多いはちみつです。
アカシアはあと味がスッキリしていて食べやすい種類。
ラベンダーはやはりはちみつでも香りが豊か。ドリンクなど、何かと合わせて割るような利用では存在感を発揮してくれます。
クセが強いはちみつの代表格はクリ。色もぐっと濃い色合いになります。
はちみつの食べ方
腸内環境を整える効果を期待するのであれば、ヨーグルトとの組み合わせはかなり効果的。
ヨーグルトから善玉菌を取り入れ、はちみつからは善玉菌のエサとなるオリゴ糖も同時に摂取することができます。
ヨーグルトの酸味が苦手な方でもはちみつの甘みが加わることで食べやすくなります。
同じく善玉菌のエサとなる食物繊維を含んだ果物などをトッピングするのも良いでしょう。
はちみつで一つだけ気をつけたいのは、1歳未満の赤ちゃんには、はちみつは与えてはいけないという点。
乳児ボツリヌス菌に感染してしまいますので、注意しましょう。
はちみつ まとめ

宿主である私たちの細胞数を上回る数の腸内細菌が自分の大腸にもいるだなんて、なんだか不思議な気持ちになりませんか。
でもそれだけの数が一つの世界を創造しているのだとしたら、その環境の良し悪しが宿主である私たちの健康にも影響を及ぼすということも、納得です。
はちみつは蜂が作り出す食品でありながら、私たちの健康にも役立つ稀有な存在です。
エネルギーを気にしながらも時には甘さを得ることができればイライラしませんよね。数ある甘味料の選択肢にはちみつも加えてみてください。