鮭は魚の中で人気が高く、幅広い年代に好まれることから、食卓の登場頻度も高いお魚ではないでしょうか。

まずは人気の鮭から取り入れてみてはいかがでしょうか。
鮭の種類
鮭を調理しようと思って少し戸惑うのは、売り場に行くと思いのほか鮭の種類が多いことです。「鮭 2切」と本に書かれていたけれど、どれを選んだらよいのか、と迷われたことはないでしょうか。
一般に鮭といった場合は「しろさけ」を指します。身の色がピンクなので知らない方もいらっしゃいますが、鮭は白身魚です。
しろさけはさけの仲間の中でも身の色が白いので、このように呼ばれています。あぶらがのった身を味わえます。
逆に色味が強いのが「べにざけ」です。塩蔵したり、燻製にしたり加工して使われることが多い種類です。「甘口」「辛口」のように書かれているのは塩蔵の塩の割合を表しています。
「ぎんざけ」も出回りの多い鮭で、養殖や輸入で多く見かける種類です。あぶらがのっていて食べやすいことと、比較的安価ですので手を出しやすい種類と言えるでしょう。
「サーモントラウト」と書いてあるものを見かけて、鮭かどうか迷ったことはありませんか。サーモントラウトはにじますです。
鮭とますの違いは難しく、海で過ごしていると鮭、川に残るのはます、といった程度の区別になっています。
海で養殖されたにじますが「サーモントラウト」として出回っていますので、あぶらののった鮭と同様に楽しめるものと捉えて良いでしょう。
鮭の栄養
白身魚でありながらあぶらののりが良い鮭は、魚油のDHAやEPAも含んでいます。
たんぱく質、脂質の摂取ができるほか、脂溶性ビタミンであるビタミンDや、たんぱく質の代謝には欠かせないビタミンB6も含まれています。
しろさけ
生 |
ぎんざけ
養殖 生 |
べにざけ
生 |
にじます 海面養殖 皮つき生 | |
エネルギー | 133キロカロリー | 204キロカロリー | 138キロカロリー | 224キロカロリー |
たんぱく質 | 22.3グラム | 19.6グラム | 22.5グラム | 21.4グラム |
脂質 | 4.1グラム | 12.8グラム | 4.5グラム | 14.2グラム |
飽和脂肪酸 | 0.66グラム | 2.23グラム | 0.81グラム | 3.09グラム |
一価不飽和脂肪酸 | 1.64グラム | 3.50グラム | 1.75グラム | 5.04グラム |
多価不飽和脂肪酸 | 0.91グラム | 2.92グラム | 1.03グラム | 3.07グラム |
ビタミンD | 32.0マイクログラム | 15.0マイクログラム | 33.0マイクログラム | 10.6マイクログラム |
ビタミンB6 | 0.64ミリグラム | 0.32ミリグラム | 0.41ミリグラム | 0.45ミリグラム |
※値はすべて100グラムあたり。DHAやEPAは多価不飽和脂肪酸の一種です。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
鮭の健康効果
白身魚である鮭の身がピンク色なのは、鮭が甲殻類をエサにしているからです。甲殻類の色素であるアスタキサンチンを筋肉中にため込んでいるため、鮭もアスタキサンチンをたくさん含んでいます。
アスタキサンチンは動物性の赤い色素で、体内でビタミンAとして働くカロテノイド色素の一種です。そのため「海のカロテノイド」などと呼ばれることもあります。
抗酸化作用に優れていて、細胞の老化を防ぎ、がんや動脈硬化の予防効果が期待できます。
アスタキサンチンはいくらにも含まれています。これは鮭が産卵したのちにも太陽光の紫外線から卵を守るために、アスタキサンチンをいくらに引き継いでいることを表しています。
鮭は川をのぼるときにはアスタキサンチンの効果を自身に活かし、その役目が終わると卵にアスタキサンチンを引き継ぐのです。
このような効果は、鮭やいくらを食べることで私たちにもうれしい働きをしてくれます。
魚油のDHAやEPAは血液が凝固するのを抑制する効果で動脈硬化の予防になります。
血中脂質のコレステロールや中性脂肪を減らす効果も動脈硬化予防につながり、脳血管疾患・虚血性心疾患といった日本人の死因の上位である循環器系疾患の予防に、ぜひ摂っておきたい栄養素です。
また、脳を形成する脂質のなかでもDHAは重要な働きを果たしていますので、記憶力を低下させず認知症を予防するためにも早いうちからDHAを摂取しておきましょう。
色素成分アスタキサンチンは脂溶性であるため、鮭に含まれているDHAやEPAはアスタキサンチンの吸収を促進する働きもしてくれます。
鮭の食べ方
切身や加工品も多く出回っていますので、気軽に手を伸ばしてみてください。ただし塩蔵品や加工品は当然のことながら塩分が強いので、その点には注意が必要です。
鮭を加えるとうま味も増して塩分も加わるので、料理の際の調味料を減らして全体的には薄味で食べるようにすると、より鮭のおいしさを楽しむことができるでしょう。
調理も簡単ですし、料理のジャンルを和洋問わないので、いろいろな調理に使用できます。
塩がきついものを塩抜きして使うこともあると思いますが、やり過ぎてしまうとおいしさも逃げてしまいますので、1%程度の食塩水に2時間程度漬けるくらいでとどめておきましょう。
鮭の選び方
調理によって種類が選べるようになればより良いとは思いますが、時期的に手に入らなかったり価格にムラがあったりもすると思うので、厳密に種類を限定するよりも代わりのものでも上手に使いこなせるようになると良いですね。
選ぶときには皮の銀色がきれいに光っているものを選ぶようにしましょう。
1尾で買い求めることは少ないかもしれませんが、頭や皮にぬめりがないようなもの、ひだがしっかりしているかどうかを見て鮮度をはかりましょう。
切り身の場合には、身のピンク色が退色していないようなものを選ぶと良いでしょう。
鮭 まとめ

味わいだけでなく色味でも食卓を華やかにしてくれますし、身体作りに欠かすことのできないたんぱく質の供給源としても取り入れやすい優秀な食材です。
人気があることから養殖も輸入もさかんですので、比較的一年を通して安定して入手できます。種類を知って、賢く使い分けてください。