血中コレステロール値の高い方には食物繊維の摂取を意識していただきたいのですが、なかなか日々の食事で食物繊維を十分に摂取するのが難しいというお声もあります。そのような方には寒天の摂取をオススメしています。

寒天の種類
寒天はテングサやオゴノリといった海藻を原料としています。
これらの細胞間物質を抽出・濃縮して、冷却・凝固・凍結といった処理をし、融解・乾燥させると、私たちの知っている寒天になります。]
角寒天や棒寒天と呼ばれるような、軽石のようなものが以前は多かったのですが、今では気軽に使える製品も多く販売されています。
粉末状のものは計量も簡単で、煮溶かして使うだけという手軽な製品です。
糸寒天は何かを固める用途以外にも、お湯で戻して汁物に追加したり、サラダにトッピングしたりできるもの。わざわざ冷やし固める料理やデザートを作るのは手間だなぁと感じる方にも気軽に寒天を取り入れていただけるものです。
寒天の栄養
寒天はアガロースとアガロペクチンという2種類の食物繊維を含んでいます。
アガロースには液体を固める能力があって、アガロペクチンには粘弾性があります。
この2つの働きによって、つるんとした食感の寒天ゼリーができるのです。
寒天の主要成分はなんと言っても食物繊維。エネルギーの加算を心配することなく、料理にボリュームを出し、食物繊維をしっかり摂取できる食材です。
海藻が原料であることから、カリウム、カルシウム、鉄といったミネラル類も含まれています。
角寒天 | 粉寒天 | |
エネルギー | 8キロカロリー | 8キロカロリー |
食物繊維総量 | 4グラム | 4グラム |
※すべて5グラムあたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
寒天の健康効果
寒天の栄養素はほとんどが食物繊維です。
食物繊維がエネルギーを供給しないにも関わらず、「第六の栄養素」とまで言われるのは、その健康効果が幅広く、現代人の食生活や生活習慣病予防には必要な存在であるためです。
まずはなんと言っても、肥満の改善や予防に効果を発揮してくれる点。エネルギーが低く、食事のボリュームは落とさないため、ダイエットに適しています。
さらに便秘を解消してくれることで余分なものを排泄できるので、ダイエットの成功に結び付きやすくなります。
コレステロールについては、余分なコレステロールを吸着して排泄してくれるため、動脈硬化予防にはかなり期待ができます。
コレステロールは食品からの摂取だけでなく、体内で産生される点を考える必要がありますが、食物繊維が胆汁酸の腸壁到達を阻害することで肝臓においてあらたに胆汁酸を合成する必要性を増します。
胆汁酸はコレステロールを原料とするため、胆汁酸を作るということはコレステロールが消費されるということ。
このようにしてコレステロール値の低下に役立つのです。
血糖値についても下げる働きが知られています。食物繊維は私たちの消化酵素では分解できないので、消化が悪い食材です。
つまり胃から腸への食べ物の移動がゆっくりになるということ。消化が緩やかだと血糖値の急激な上昇は抑えられます。
高血圧については、食物繊維がカリウムの吸収を助け、ナトリウムとの平衡を保つ働きをすることで予防になると考えられています。
肥満・高血圧・脂質異常・高血糖はいずれも生活習慣病に結び付くリスク要因ばかり。
メタボリックシンドロームの診断基準項目ともなっていますよね。
これらの予防・改善に万能な効果が期待できるのが、寒天に多く含まれる食物繊維なのです。
寒天の選び方
目的に応じて粉寒天・糸寒天・棒寒天のうち、使いやすいものを選びましょう。いずれもエネルギーが低く、食物繊維が豊富であることには変わりありません。
またご自身で寒天料理を作るのは面倒だということであればところ天を食べればOK。寒天はいわばところ天が乾燥したものなのです。
また最近では健康志向で寒天を使ったダイエットデザートも多く出ています。
寒天自体のエネルギーは心配いりませんから、甘味料に何を使っているか確認しながら、甘すぎてエネルギー摂取につながらないようなものを選んで、食生活に寒天をプラスしてみるのも良いでしょう。
寒天の食べ方
寒天を使って作るのは、ゼリーや水ようかんのような甘い物である必要はありません。
出汁やドレッシングを寒天で固めてクラッシュしてトッピングをすると、薄味かつ少量でも味付けを楽しむことができるので、ぜひお料理にもどんどん活用してください。
寒天液で固めるときには、寒天をしっかり煮溶かして寒天液を作り、固めたいものと混ぜること。
粉寒天は溶けやすい点で扱いやすいでしょう。寒天は酸が強いものを固めるのには向いていませんので、気をつけましょう。
固まる能力としては常温から固まり始めるので、固めやすく(冷蔵庫で固めると、よりしっかり固まります)、常温でも溶けてこないのでお弁当などにも入れることができる点が手軽です。
お手軽なのは、糸寒天を上手に利用する方法。糸寒天は戻さなくても汁物などにプラスするだけですぐに柔らかくなり、ボリューム感を出してくれます。
煮汁が冷めてくると少し固まってくるので、そういえば寒天を入れたんだと気づく程度で、味も邪魔せず手軽に寒天をプラスすることができます。
寒天 まとめ

普段からこれらの食品群の摂取に気をつけていただくことはもちろん、もし難しいということであれば手軽にプラスできる方法を知っておくのも良いでしょう。
ちょっとカップスープと作るとき、お鍋をしているとき、糸寒天を一緒に入れるだけです。これなら簡単ですよね。