たけのこは春の季節感を感じる食材の一つです。
とは言え、生のたけのこの出回り時期は短いうえ、下ゆでなどに手間がかかるため、水煮などの加工品の利用が主ではないでしょうか。

たけのこの種類
水煮としても加工され、メジャーな品種である孟宗竹。直径が10~30センチメートル程度、長さは30センチメートル程度、重さが1~3キログラムくらいになります。
春から旬を迎え、桜前線と共に旬が移動して初夏まで楽しめるとされています。
一方夏に旬を迎える品種が、緑竹。孟宗竹よりも表面がなめらかでアクが少ない品種です。
晩秋に出回るのが、四方竹。切り口が四角くなる、歯ごたえのよい品種です。
日本原産の姫竹は長さが20センチメートル程度の細長い品種で、香りがよく山菜として楽しまれます。
たけのこの栄養
ビタミン類ではビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンEを含みますが、いずれもそれほど豊富ではありません。
ミネラル類のカリウムやマンガン、食物繊維の摂取には適した食材です。
そのほかには、うま味成分であるアスパラギン酸を多く含んでいます。
たけのこ 若茎 生 | たけのこ 水煮缶詰 | |
エネルギー | 26キロカロリー | 23キロカロリー |
水溶性食物繊維 | 0.3グラム | 0.5グラム |
不溶性食物繊維 | 2.5グラム | 1.8グラム |
カリウム | 520ミリグラム | 77ミリグラム |
マンガン | 0.68ミリグラム | 0.68ミリグラム |
α-トコフェロール(ビタミンE) | 0.7ミリグラム | 1.0ミリグラム |
ビタミンB1 | 0.05ミリグラム | 0.01ミリグラム |
ビタミンB2 | 0.11ミリグラム | 0.04ミリグラム |
ビタミンC | 10ミリグラム | 0ミリグラム |
※すべて100グラムあたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
たけのこの健康効果
カリウムが含まれることから、体内の余分なナトリウムを排泄してくれるため、高血圧の予防に働きます。
マンガンは骨に関わるミネラルの一つで、丈夫な骨の形成に役立ちます。
糖質・脂質・たんぱく質の代謝に働く多くの酵素を構成することから、たけのこご飯のように糖質と組み合わせて食べる食べ合わせでも効果を発揮してくれます。
繊維質の食感が味わえることからわかる通り、食物繊維も豊富で、便秘改善に働き、体内の余分なコレステロール排泄にも役立ちます。
マンガンとともにアスパラギン酸を多く含み、疲労回復効果が期待できます。
アスパラギン酸は窒素代謝・エネルギー代謝に関与し、神経伝達物質の原料になったり、中枢神経系を守ったりします。
スタミナ強化を謳ったドリンク剤にも使われている、疲労に対する抵抗力を高めてくれる成分です。
たけのこに白い点々が見られることがありますよね。あれはチロシンという成分で、アミノ酸の一種です。
私たちは必須アミノ酸を摂取していれば体内でチロシンを合成することができますが、チロシンはさまざまな役割を果たしていますので、摂取できれば良いですよね。
たとえばやる気をアップするように脳に働きかけてくれるドーパミンや、集中力をたかめてくれるノルアドレナリンといった神経伝達物質を作る際にチロシンが役立ちます。
ドーパミンやノルアドレナリンの不足はうつ病を引き起こすとも考えられており、心の健康を保つためにもしっかり合成していきたいものとなります。
たけのこの選び方
たけのこは、湯を沸かしてから採りに行けと言われるほど鮮度が命。すぐに下ゆでをします。
売り場では、皮が薄茶色で穂先が黄緑色や黄色のものを選びましょう。
切り口に変色がなく、みずみずしいかどうかでも鮮度がわかります。穂先が黒くなっているようなものは鮮度が落ちている場合があるので、避けましょう。
ゆでるとアクが抜け、水につけて冷蔵庫で保管できますが、数日で食べきった方が良いでしょう。
たけのこの食べ方
新鮮で掘りたてのものはえぐみが少なく生食できますが、一般的に購入してくるような場合には下ゆでが必要となります。
ゆでる場合は、穂先を斜めに切り落とし、皮に縦の切れ目を入れて、米ぬかと赤唐辛子を入れた湯で皮ごとゆでます。
弱火で根元に竹串が通るくらいまでゆでましょう。ゆで終えたら、冷めるまでゆで汁の中に置いておきます。水でよく洗って使いますが、使うときに皮をむくようにします。
アクの成分はえぐみのシュウ酸やホモゲンチジン酸で、カルシウムの吸収を阻害したり、結石の原因となったりするので、下ゆでしてアク抜きをするようにしましょう。
穂先はやわらかいので、若竹煮のように薄味で楽しまれます。炊き込みご飯や天ぷらなどには中間部が向いていて、根元は少し硬さがあるので、千切りにして炒め物にすると食感を楽しむことができます。
たけのこ まとめ

生のたけのこが出回る時期はごくわずかですので、この時期はぜひ水煮ではなく生のたけのこを食して、栄養素も効率的に摂取しましょう。
食物繊維やアスパラギン酸の効果は水煮でも得られる部分も十分ありますから、便利な水煮も利用して、おかずのボリュームをアップさせる食材として上手に取り入れたいですね。
たけのこの下ゆでがなぜ大変なのかといえば、今はなかなかぬかが手に入らないからではないでしょうか。
食文化の変遷をつくづく感じるわけですが、ぬかが手に入らなければ重曹を溶かした湯でゆでても良いので、ぜひ敬遠することなく、手に取っていただきたいと思います。