トレビスという野菜をご存じでしょうか。名前を聞いて野菜の姿が思い浮かばなくても、案外口にしていることの多い野菜です。

トレビスの種類
トレビスはキャベツのように見えますが、チコリーの仲間です。葉が赤紫色という特徴的な見た目で、柔らかいので生食できます。
味はやや苦味のある味わい。トレビスと呼ぶのはフランスのようで、イタリアでも使われますが「ラディッキオ」と呼ばれることが多いそうです。
意外にも品種もいろいろとあり、葉の巻き具合によって、結球型・非結球型、チコリーのような形のロケット型などがあります。
主流は結球型のもの。輸入品が多いので、年間を通して入手が可能です。
トレビスの栄養
野菜の持つビタミンCなどのビタミン類やカリウムなどのミネラル類の摂取ができます。
β-カロテンの含有量は多くないので、淡色野菜に分類されます。
やはり特徴は赤紫色であるところで、色素成分のアントシアニンが含まれています。
エネルギー | 18キロカロリー |
水溶性食物繊維 | 0.5グラム |
不溶性食物繊維 | 1.5グラム |
カリウム | 290ミリグラム |
ビタミンK | 13マイクログラム |
ビタミンB1 | 0.04ミリグラム |
ビタミンB2 | 0.04ミリグラム |
ビタミンB6 | 0.03ミリグラム |
葉酸 | 41マイクログラム |
パントテン酸 | 0.24ミリグラム |
ビタミンC | 6ミリグラム |
※すべて トレビス 葉 生 100グラムあたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
トレビスの健康効果
トレビスの特徴である紫色は、アントシアニンによるものです。
アントシアニンはポリフェノールの一種で、酸性では赤、アルカリ性では青色になる色素の成分です。
アントシアニンが疲れ目に効果があることが有名ですが、もともと植物が紫外線などの害から身を守るために作り出したとされる成分ですので、私たち人間にとっても健康効果で期待されていることがいろいろとあります。
たとえば、肝臓の機能を回復させたり向上させたりする効果。特に初期症状には効果が期待できるのではないかと研究が進んでいます。
また血圧を上昇させる酵素の働きを阻害することが最近の研究で明らかになってきました。
抗酸化作用もあり、細胞の老化やがん化を妨いでくれます。
毛細血管を保護する働きや、血栓の生成を抑制する効果も知られています。
血中コレステロール値が高い脂質異常症の場合、血管へ負担がかかりやすく動脈硬化への移行が懸念されます。
血管の強化や血栓の予防はうれしい効果だと言えるでしょう。
このようにさまざまな生活習慣病予防に効果を発揮してくれると期待される、アントシアニン。
アントシアニンは内臓脂肪の蓄積を抑えてくれるので、種々の生活習慣病の前段階とも言える、メタボリックシンドロームの予防・改善にも働きかけると考えられています。
メタボリックシンドロームを放置すれば動脈硬化が起こりやすくなり、複数の生活習慣病を併発するリスク、さらにはその先に脳血管疾患や虚血性疾患といったおそろしい病気を発症するリスクが高まります。
日頃からのケアで、できるだけ生活習慣病を遠ざけていきたいわけですから、アントシアニンの働きはありがたいですね。
ちなみに「目に良い」とされる機構は、網膜の中にあるロドプシンという光を脳に伝えているたんぱく質の再合成にアントシアニンが役立つというもの。
またはアントシアニンの持つ抗酸化作用が白内障予防に役立つというものです。
目にまつわる症状はさまざまあるのに、何となく「目に良い」というところがフューチャーされたことで、かえって「騙されてはいけない」といった意見も見ることになりました。
しかしこれはアントシアニンだけを摂っていれば良いように極論で理解してしまった場合の論理展開に過ぎず、バランスの良い食生活に加えてアントシアニンも上手に取り入れていくことは私たちの身体の健康増進へ役立つことは、決して誤りではないのです。
トレビスの選び方
葉に弾力があってみずみずしいもの、葉脈の白い部分に変色のないものかを確認しましょう。
全体に丸みがあって巻きがしっかりしているものを選ぶと良いでしょう。
鮮度が落ちやすいので、ラップでしっかり巻いて、冷蔵庫の野菜室で保存します。
トレビスの食べ方
アントシアニンは水溶性ですのでゆでると流れ出てしまいます。色よく仕上げるにはサラダやつけあわせなどで生食するのが向いています。
味のアクセントとなる苦味ですが、加熱をすると増しますので、その点でも生食向きだと言えるでしょう。酸味のあるドレッシングなどとは味の相性が良いと思います。
緑色が多い葉野菜たっぷりのサラダのアクセントに加えてみましょう。縦に切っていくと葉の赤紫色と葉脈の白がきれいに出ます。
ただし包丁で切ると細胞が押しつぶされ、包丁の鉄分と反応して苦味が強くなることがあります。また切り口の色が褐色になってしまうことも。
手でちぎるか、刃物の素材に気を配ると良いでしょう。
ほろ苦い味わいは、脂質が多い肉類とあわせても相性良く仕上がります。
またイタリアでは、チーズとあわせてリゾットにされることも多いようです。
トレビス まとめ

野菜の良いところはエネルギーが少ないのに、日頃不足しがちな栄養素が補給できるところですが、色とりどりの姿は目にもうれしいものです。
機能性成分も有名なものから未知なものまで数多く含まれていますので、上手な摂取はいろいろな種類をいろいろな調理法で味わうことです。
単調になりがちな野菜料理ですから、ぜひトレビスも手に取ってみてください。