鍋の季節になると食卓での登場回数も増える、春菊。香りが強い野菜ですので、そこが魅力の一つともいえますが、子どものころはどうも苦手だったような印象があります。
春菊のおいしさがわかってくれば、大人の仲間入りでしょうか。

春菊の種類
売り場で春菊が複数品種ならぶことは少ないと思いますが、葉の切れ込みの深さでいくつか種類があります。
葉の切れ込みが浅いものを大葉種、切れ込みの深いものを中葉種、さらに小葉種として分類しています。地域によって好まれるものが異なるようで、関東より北では中葉種が多く出回り、関西では大葉種が好まれているようです。
ちなみに関西では春菊のことを「菊菜」と呼ぶことが多いようで、「春菊」という名は春に花が咲くことからつけられました。
春菊の栄養
春菊は緑黄色野菜に分類されますので、もちろんβ-カロテンは豊富。そのほかのビタミンでは、ビタミンB2、ビタミンE、ビタミンK、葉物野菜に多い葉酸なども多く含まれます。
ミネラルではカリウム、カルシム、鉄と日頃から摂取を心がけたいミネラル類を豊富に含んでいます。
緑色の色素であるクロロフィルも含んでいます。
エネルギー | 22キロカロリー |
水溶性食物繊維 | 0.8グラム |
不溶性食物繊維 | 2.4グラム |
カリウム | 460ミリグラム |
カルシウム | 120ミリグラム |
鉄 | 1.7ミリグラム |
β-カロテン | 4500マイクログラム |
α-トコフェロール(ビタミンE) | 1.7ミリグラム |
ビタミンK | 250マイクログラム |
ビタミンB1 | 0.10ミリグラム |
ビタミンB2 | 0.16ミリグラム |
葉酸 | 190マイクログラム |
※ すべて 葉 生 100グラムあたりの値
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
春菊の健康効果
春菊の香りはαーピネン、ベンズアルデヒドといった精油成分を複数含むことからもたらされています。
これらの香りはイライラを鎮めてくれる働きのほか、胃腸の働きを整えてくれる効果や、のどの炎症を防ぐ働きがあるとされていますので、のど風邪の増えてくる寒くなりかけの時期や、宴会が続きで暴飲暴食になりがちな年末年始など、寒い季節に春菊入りの鍋を食べるのは、ピッタリですね。
香りの良さを味わうには、生食も良いですよね。アクが少ない春菊は生食も可能です。
加熱をしないことで、栄養素の損失を抑えることも期待できますから、鍋などの加熱調理ばかりでなく生食でもぜひ、取り入れてみましょう。
脂溶性ビタミンは油と一緒に摂ると吸収効率があがります。サラダなどにして、ドレッシングで味わってみてはどうでしょうか。
春菊は緑の濃い野菜です。β-カロテンやビタミンEといった脂溶性ビタミンとともに、色素成分であるクロロフィルも含んでいます。
これらはいずれも抗酸化作用を有している成分で、その働きから体内の脂質酸化を妨げ、動脈硬化の予防につながることが期待できます。
クロロフィルにはコレステロールを減少させる働きも期待されています。
カリウムも豊富ですので高血圧の予防、食物繊維を含むことから便秘解消、鉄分も含みますので貧血予防と体調を整えるにはうれしい効果が数多くあります。
貧血予防ということでは、クロロフィルも役立ちます。クロロフィルは私たちの血液色素と似た構造をしているので、鉄と結合しやすく、血色素へと利用されるのです。
ビタミンCも含まれてはいますがそれほど多くはありませんので、組み合わせる食材を工夫すると相乗効果となるでしょう。
春菊の選び方
香りが高く、ハリのある葉であるかを見ましょう。緑色が濃いもの、葉先までピンとしているものが良品です。茎は細くて下の方まで葉がついているものを選ぶと良いでしょう。
茎の切り口が乾いていないかを見ると、鮮度の見分けに役立ちます。葉がやわらかく繊細ですので、乾燥しないように保管しましょう。
傷んでいる葉の部分は取り除き、できるだけ早めに食べきるようにしましょう。保管の際には香りが移りやすいものと一緒に保管しないように気をつけましょう。
春菊の食べ方
同じ葉物野菜のホウレンソウとは違い、アクが少なめで下ゆでをせずに使えるのが、春菊のうれしいところ。調理に手間がかからないということはもちろん、栄養素の損失も抑えられます。
香りが強いところを上手に利用するのであれば、和製のバジルのようなイメージで使ってみると利用が広がります。
あまりパスタなどと合わせる使い方はされませんが、バジルのようなものだと思えば違和感もありませんよね。
香りが強すぎてお子さんが食べにくい場合には、くるみやゴマなどコクのあるものと合わせて、和え物にすると食べやすくなります。
脂溶性ビタミンも多く含む野菜ですので、くるみやゴマなどの種実類に含まれている脂質との栄養的な相性も抜群です。
春菊 まとめ

高いカルシウム含有量と同時に骨の健康に関与するビタミンKも含まれていて、ぬかりありません。
それらの栄養素に加えて10種類以上におよぶといわれている香りの成分が独特の魅力と健康効果をもたらしてくれます。
これまではお鍋の脇役的な存在でしたが、そのすごさがわかってくると、つい見る目も変わってしまいますね。