大根は地名がついた品種が豊富ですよね。古くから食べられていて、その土地に根付いていたことが伺えます。

大根の種類
現在の主流品種は青首大根。比較的辛みのおだやかな味わいで人気です。
古くから親しまれてきた地方品種では、その土地の漬物として利用されてきたものも多くあります。たとえば練馬大根、亀戸大根など。
かぶのような見た目の聖護院大根は京野菜の一種で、煮物などで楽しまれます。加賀野菜の源助大根は長さが20センチメートル程度と短めで甘みが強く、こちらもおでんなどに使われます。
生食にはレディサラダという皮が赤く、小ぶりの大根をよく見かけるようになりました。切ると中は白くて鮮やか。色合いが外は白、中は赤という紅芯大根も最近人気。
ほかにも皮の黒い、黒大根もあります。こちらはやや辛味が強め。色とりどり取り合わせてサラダにしたらきれいですね。
このほか大根の仲間には、ラディッシュ(二十日大根)やかいわれ大根などもあります。
大根の栄養
根の部分は淡色野菜、葉は緑黄色野菜ですので、どちらも利用したい野菜です。
根の部分にはビタミンCやカリウムといった、淡色野菜から期待できる栄養素が含まれているほか、でんぷん分解酵素のジアスターゼが含まれています。
葉の部分は緑黄色野菜ですから当然β-カロテンが豊富。ほかにも葉酸などの摂取も期待できます。
だいこん 根 皮つき 生 | だいこん 葉 生 | |
エネルギー | 18キロカロリー | 25キロカロリー |
水溶性食物繊維 | 0.5グラム | 0.8グラム |
不溶性食物繊維 | 1.1グラム | 3.2グラム |
カリウム | 210ミリグラム | 400ミリグラム |
カルシウム | 24ミリグラム | 260ミリグラム |
β-カロテン | 0マイクログラム | 3900マイクログラム |
ビタミンK | Tr | 270マイクログラム |
ビタミンB1 | 0.02ミリグラム | 0.09ミリグラム |
ビタミンB2 | 0.01ミリグラム | 0.16ミリグラム |
葉酸 | 33マイクログラム | 140マイクログラム |
ビタミンC | 11ミリグラム | 53ミリグラム |
※すべて100グラムあたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
大根の健康効果
大根の機能性でよく注目されるのは、消化を助けてくれる働き。
ジアスターゼをはじめ、オキシダーゼなどでんぷんを分解する働きを持つ酵素を複数含有しています。
その働きにより胃もたれや胸やけを予防してくれるとされており、ときに「自然の消化薬」と呼ばれることも。
実際に市販の消化整腸剤に使われることもあります。
酵素は熱に弱いので生食が良いわけですが、大根おろしなどでしばしば登場するのも、味ばかりでなく大根の消化能力を期待してのこと。
七草がゆのようにでんぷん類との組み合わせは、理にかなっていることがわかります。
辛味の成分はイソチオシアネート。大根のようにアブラナ科の野菜に含まれる機能性成分で、発がん物質の毒性を解毒してがんを抑制してくれたり、免疫力を高めることでがん細胞を攻撃してくれたりと、がんとの関連がしばしば期待されます。
焼き魚に大根おろしという組み合わせは、焼き魚の焦げた部分が発がんのリスクになり得るので、そこにイソチオシアネートを含む大根を持ってくるという、これまた理にかなった組み合わせなのです。
イソチオシアネートには、血栓を予防してくれる働きも期待できるため、血中脂質のバランスが悪く、血液に粘性がでがちな方にとっては、特に期待したい働きだと言えますね。
食物繊維も豊富なことから余分なコレステロールの排泄効果も期待できます。
不溶性のみならず、水溶性の食物繊維も含有しているため、両方の働きを得られます。
不溶性食物繊維によって排便が促進され、水溶性食物繊維によって余分なコレステロールが排泄されたり、血糖値の上昇がゆるやかになったりします。
脂質異常症のみならずさまざまな生活習慣病を予防するうえで、とても大切な働きです。
大根の選び方
大根は地中でストレスなく育つとまっすぐに育ちます。ひげ根の穴がきれいな一直線の並びであればストレスなく育った証拠。やはりストレスなく育ったものは味が良いとされています。
選ぶ際には皮にツヤやハリがあるか、ずっしりとしているか、首の部分に黒ずみがないかを確認しましょう。
カットしたものを選びときには、切り口の断面にスが入っていないかを見て選びます。
保存の際には根と葉は切り離して、軽く湿らせた新聞紙に包むなどして乾燥対策を施したのちに、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。
大根の食べ方
部位によって味わいが異なるので、それぞれにあった料理法を考えて利用するのも楽しいですね。
辛いのは先端の部分で、漬物などに利用すると良いとされてきました。逆に頭の部分は甘みが強いのでサラダなどの生で食べても良いでしょう。
煮物などに向いているのが真ん中の部分。おでんやぶり大根など、大根を煮て食べる定番メニューも豊富ですよね。煮込むことで甘みが引き立ちます。
ビタミン類は皮に多いので、できれば皮まで食べきりたいところ。また切り干し大根のような乾物も上手に利用すると、大根を取り入れる機会が増えそうです。
切り落として捨ててしまいがちな葉の部分は緑黄色野菜として栄養価も高いので、ぜひ料理に活用して食べるようにしてください。
大根 まとめ

カルシウムやβ-カロテンの摂取できる食品として、葉の利用まで考えていただけると良いと思います。
なんせ大根は、煮てよし、生よし、おろしてもよし。幅広い利用が可能な野菜ですから、ちょっとした彩りに、葉も添えてみてください。