たまねぎは健康効果が注目されて取り上げられることの多い野菜ですね。ご家庭では常備しやすく、年間を通して召し上がる機会も多いのではないかと思います。
生で食べる場合と火を通す場合とでは味わいがガラリと変わるのも魅力の一つ。

たまねぎの種類
よく食べられている皮の黄色いものは、黄たまねぎです。生で食べると少し辛味を感じますね。
甘くて刺激の少ないのは、白たまねぎ。塩もみせずとも生食できますので、サラダなどに向いています。
同じくサラダに向いているのは、赤たまねぎ。身の外側が赤紫色なので、紫たまねぎと呼ばれていることもあります。水分が多く甘みがあります。
ペコロスという名前で売られている小玉のたまねぎは、黄色いたまねぎを密植させて育てたものなので、大きさ以外は同じもの。
葉たまねぎと言って葉も食べることができる種類もあって、これは白たまねぎを土寄せして作り、早採りします。
春先に出回るものは、新たまねぎとして売られます。甘みが強く水分の多いやわらかい身で、季節ならではの楽しみとして生でも焼いてもおいしく食べることができます。
たまねぎの栄養
たまねぎの皮の色素はケルセチンというポリフェノールの一種。
また辛味と匂いを出しているのは硫化アリルという機能性成分です。
これらの働きが注目されて、たびたび健康効果が期待できる野菜として取り上げられる、たまねぎ。
ビタミンB6やカリウム、食物繊維といった栄養素もきちんと含まれています。
たまねぎ りん茎 生 |
赤たまねぎ りん茎 生 |
葉たまねぎ りん茎及び葉 生 |
|
エネルギー | 37キロカロリー | 38キロカロリー | 37キロカロリー |
不溶性食物繊維 | 0.6グラム | 0.6グラム | 0.7グラム |
水溶性食物繊維 | 1.0グラム | 1.1グラム | 2.3グラム |
カリウム | 150ミリグラム | 150ミリグラム | 290ミリグラム |
β-カロテン | 0マイクログラム | 0マイクログラム | 1500マイクログラム |
α-トコフェロール(ビタミンE) | 0.1ミリグラム | 0.1ミリグラム | 1.1ミリグラム |
ビタミンB1 | 0.03ミリグラム | 0.03ミリグラム | 0.06ミリグラム |
ビタミンB2 | 0.01ミリグラム | 0.02ミリグラム | 0.11ミリグラム |
ビタミンB6 | 0.16ミリグラム | 0.13ミリグラム | 0.16ミリグラム |
葉酸 | 16マイクログラム | 23マイクログラム | 120マイクログラム |
ビタミンC | 8ミリグラム | 7ミリグラム | 32ミリグラム |
※すべて 100グラムあたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
たまねぎの健康効果
ネギ属の野菜には硫化アリルという成分が含まれているという特徴があります。たまねぎも例外ではありません。
たまねぎに辛味や匂いをもたらしている硫化アリルであるアリシンは、ビタミンB1と結びつくとアリチアミンとなって吸収が高まります。
ビタミンB1は炭水化物の代謝には欠かせない栄養素ですが、体内にとどまりにくい性質があります。
これがアリシンと結びつくことで吸収が高まり、体内にもとどまりやすくなりますので、吸収が高まればエネルギー代謝がスムーズになり、疲れにくくなります。
硫化アリルには胃の働きを活発にする作用があるほか、殺菌作用があります。
近年注目が集まるのは血栓をできにくくするという働き。
アリシンは血流を改善してくれる働きを持つほか、善玉であるHDLーコレステロールを増やし、悪玉であるLDL-コレステロールを減らす働きをしてくれます。
これにより動脈硬化を防ぎ、血液循環を良くするので、血中脂質バランスが崩れがちな方にはうれしい効果です。
皮の色素のケルセチンは強い抗酸化作用を持っていて、血管や細胞の老化を抑制してくれます。
またケルセチンにも血流を改善してくれる効果や血中脂質バランスの調整に役立つ作用が知られているため、硫化アリルとあわせて動脈硬化予防に働きかけてくれます。
皮の部分はむいてしまうことが多いのですが、ケルセチンは熱に強く効果が変わらないので、皮を煮だして利用すると良いでしょう。
たまねぎの選び方
球全体がしまっていて、重みのあるものが良いでしょう。皮は乾いていてツヤのあるものを選びましょう。根があまり伸びていないものの方が良品です。
蒸れに弱いので、風通しのよい環境で保存するようにしましょう。
新たまねぎは冷蔵庫の野菜室で保存して、早めに食べきりのが望ましいでしょう。
たまねぎの食べ方
硫化アリル、ケルセチン、ビタミンB群やビタミンCはいずれも水溶性の性質を持っていますので、たまねぎを長時間水にさらしてしまうと流れ出てしまいます。
洗うときも手早く済ませて、薄切りにし、短時間水にさらすようにしましょう。
もしくは新たまねぎや赤たまねぎ、白たまねぎのように、水にさらさなくても辛くないものを選ぶようにすると良いでしょう。
ビタミンB6はたんぱく質の代謝に関与するビタミンですので、お肉や魚と合わせると栄養バランスも良くなります。
カレーやシチューにもたまねぎは入りますから、味覚でも栄養面でも好相性ということです。
熱が加わると甘くなって、時に料理の隠し味に使われることもあります。甘味を引き出したいときは、煮込むよりもじっくり炒めるのがコツです。
たまねぎ まとめ

切る前に冷やしておくと硫化アリルの蒸発量が減るので、少しは楽に切れるかもしれません。
たまねぎの健康効果について、「血液サラサラ」という表現を使われることがありますが、少し解釈が誤っているのかなぁと思います。
たまねぎのうれしい効果は、血の塊を作らせないようにして血液循環を良くしてくれる効果と、血管の老化を防止してくれる効果。
どちらも大切な効果ですから、正確に理解しておきたいですよね。