ひと昔前は少し特別な野菜のイメージがあったパプリカですが、最近では販売しているお店も増え、入手しやすくなりました。
輸入品が主流ですが、最近では国産品も増えてきて、通年売られています。

パプリカの種類
パプリカは見た目通りピーマンの仲間で、大型の品種が完熟したものです。
通常の緑のピーマンも収穫せずにそのまま完熟させれば黄色、オレンジ、赤と色が変化しながら完熟していきますが、パプリカはピーマンの中でも大型種で肉厚ですので、より完熟した風味を感じることができます。
色鮮やかである点が好まれるパプリカ。色は完熟度合いによって黄色、オレンジ、赤のいずれも出回っています。
また少し変わっているところでは、「パレルモ」という細長いイタリアの品種もあります。
イタリアンパプリカとも呼ばれ、長さは20センチメートルくらいあります。甘みが強くてジューシーな品種です。
パプリカの栄養
完熟して色味がついてくる色素成分はカロテノイド系の色素ですので、ピーマンの持つ栄養に加え、完熟していくにしたがいβ-カロテンが増していきます。
ビタミンE、ビタミンCも豊富です。
赤ピーマン 果実 生 ※赤パプリカ |
黄ピーマン 果実 生 ※黄パプリカ |
|
エネルギー | 30キロカロリー | 27キロカロリー |
水溶性食物繊維 | 0.5グラム | 0.4グラム |
不溶性食物繊維 | 1.1グラム | 0.9グラム |
カリウム | 210ミリグラム | 200ミリグラム |
β-カロテン | 940マイクログラム | 160マイクログラム |
ビタミンE(α-トコフェロール) | 4.3ミリグラム | 2.4ミリグラム |
ビタミンK | 7マイクログラム | 3マイクログラム |
ビタミンB1 | 0.06ミリグラム | 0.04ミリグラム |
ビタミンB2 | 0.14ミリグラム | 0.03ミリグラム |
ビタミンB6 | 0.37ミリグラム | 0.26ミリグラム |
葉酸 | 68マイクログラム | 54マイクログラム |
ビタミンC | 170ミリグラム | 150ミリグラム |
※すべて 100グラムあたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
パプリカの健康効果
ピーマンというとやや苦みを感じますが、パプリカは完熟しているので苦みが感じられません。
加えて、β-カロテン、ビタミンE、ビタミンCという抗酸化作用を持つ栄養素の含有量は増えていき、甘みのある味わいに変わっていきます。
カロテノイド系の色素は強力な抗酸化作用を持っていて、発がんの抑制に働きます。
植物が自分の身を活性酸素の害から守るために作り出す物質がカロテノイドですので、私たちにとってもうれしい成分なのです。
目や皮膚、内臓などの細胞組織を活性酸素の害から守り、生活習慣病の予防に役立てることができます。
なおかつβ-カロテンは私たちの体内でビタミンAとして粘膜の強化に働いてくれますし、ビタミンCはコラーゲンの生成に役立ち、丈夫な細胞組織を形成します。
美肌効果も知られているビタミンCをしっかり含んでいるうえ、血行促進に効果を有するビタミンEも豊富ですから、パプリカは美容方面では引っ張りだこです。
強い抗酸化作用が効果を発揮するのは美肌作りだけでなく、血中脂質バランスの乱れで気になる動脈硬化の予防にも働きます。
パプリカの選び方
何といっても色味が魅力です。色が濃く、ツヤのあるものを選びましょう。肉厚でハリのあるものが良いでしょう。
大型種なので、ついつい大きなものを選びがちですが、種が育ってくると果肉が固くなるので、あまり大きくなりすぎていないものの方が良いでしょう。
鮮度の見分け方でヒントになるのが、ヘタの部分。ピンとしているかを見てみましょう。
万が一傷んでいる場合にはこの辺りにカビが生えたりしますので、果肉部分だけでなく、ヘタもちゃんとチェックしてから買うようにしましょう。
保存の際はよく水気を切って、ラップなどに包んで、冷蔵庫の野菜室に入れます。
パプリカの食べ方
パプリカには苦みがないので生でも食べやすいのですが、β-カロテン、ビタミンE、カロテノイド色素はいずれも脂溶性ですので、油調理で食べるのに適しています。
ビタミンCは加熱に弱い点が心配ですが、パプリカに含まれるビタミンCは、肉厚な果肉に守られているため、比較的損失は少ないと考えられています。加熱によって甘みも引き出されます。
大型種の形を活かして、半分に切って器のように使うこともできます。少量でも色味がきれいに仕上がるので、スライスした生のパプリカをトッピングに使うのも良いでしょう。
皮ごと召し上がっていただけますが、皮をむいて使いたい場合には、ヘタの部分にクシを刺して、直火で焼きます。真っ黒になったら冷水にとると皮をむくことができます。
1個買っても使い道は多く、余って困るような食材ではありませんから、躊躇なく手を伸ばせるのではないでしょうか。
パプリカ まとめ

生食もできるのに加熱しても適度な歯ごたえが残り、ジューシーに食べることができます。
常々、「パプリカは絵になる野菜だなぁ」と思っていました。
鮮やかな色と、独特な形は見た目にも素敵ですが、色が鮮やかなほど栄養価も高いと聞けば、鮮度チェックしながら選ぶのも楽しくなりますね。