「ちゃんと野菜を召し上がっていますか?」とお伺いすると、「ポテトサラダを食べました」「フライドポテトを食べました」といったお答えをいただくことがあります。
じゃがいもを野菜と考えるのは、栄養学的にはNGなのです。

じゃがいもの種類
じゃがいもはとても品種の多い植物です。
有名な使い分けとしては、男爵とメークインの区別。球形でホクホクしている男爵は粉ふき芋やポテトサラダに向いている品種。
一方長細い卵型のメークインは粘質なので粉ふき芋にはなりません。カレーや煮物などに向いている品種です。
最近人気なのが、キタアカリ。黄色くて粉質で、男爵の改良品種です。同じく黄色のインカのめざめは、甘さが感じられる味わいが人気。
少し変わり種では、皮も身も紫色のノーザンルビーという品種。煮崩れしにくく、熱を加えても色が変わりにくいので、フライなどに使われます。
ところで「新じゃが」というくくりもよく耳にするじゃがいも。
これは品種ではなく、堀たての状態で選果されてすぐに出荷されて出回るじゃがいものことです。
じゃがいもは貯蔵技術によって周年入手が可能ですが、それだけに新じゃがのように、すぐに出回るじゃがいもを珍重する考え方もあるのですね。
じゃがいもの栄養
じゃがいもは栄養価の高さから、「大地のりんご」とも言われることのある植物です。栄養成分の主体はでんぷん。
それだけに野菜として扱ってしまうと、エネルギーがかさむ心配があるため、いも類として区別して扱います。
しかし炭水化物だけでなく、カリウムやビタミンCも豊富。
調理によって壊れやすくデリケートなビタミンCですが、じゃがいもではでんぷん質に守られているため、比較的損失なく摂取することができます。
エネルギー | 76キロカロリー |
炭水化物 | 17.6グラム |
水溶性食物繊維 | 0.6グラム |
不溶性食物繊維 | 0.7グラム |
カリウム | 410ミリグラム |
ビタミンB1 | 0.09ミリグラム |
ビタミンB6 | 0.03ミリグラム |
葉酸 | 21マイクログラム |
ビタミンC | 35ミリグラム |
※いずれも じゃがいも 塊茎 生 100グラムあたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
じゃがいもの健康効果
栄養素の主成分がでんぷんであることを除けば、じゃがいもは野菜類に引けを取らないビタミン類、ミネラル類を含有しています。
特にビタミンCに関しては、含有量が多いことに加えて損失が少ないという点でも優秀です。
ビタミンCは抗酸化作用によって老化防止や免疫力向上といった大切な役割をしてくれます。
じゃがいもの場合、一度に摂取する重量がしっかりと食べることができるため、重要なビタミンCの供給源であると言えるでしょう。
ビタミン類ではビタミンB1をはじめとして、ビタミンB群も含有されています。
でんぷん質であり、かつそれを代謝する際に必要となる栄養素も含有していることで、栄養効率の良い組み合わせになっています。
カリウムも豊富。体内から余分なナトリウムを排泄し高血圧の予防や改善に役立つカリウムはしっかり摂りたいと考えられている栄養素です。
排泄効果で言えば食物繊維も同様。やはりじゃがいもに含まれています。
つまりじゃがいもの場合、野菜から摂取できる栄養素を含みながら、なおかつエネルギー源ともなるということなのです。
かと言って、あくまでも野菜と比べてエネルギーを持っているということにすぎず、高エネルギー食品ではありません。
食べた時の重量感や満足感、腹持ちの良さを考えると、上手に利用することができればむしろダイエット向きの食材だと考えることもできるでしょう。
じゃがいもの選び方
じゃがいもは貯蔵されて周年入手できるようになっています。それだけに悪くなっていないかをきちんと見極めて選びたいところ。
皮にしわや傷がないかを確認して、身がしまって重みのあるものを選びましょう。
芽が出ていたり緑色になっていたりする部分には有毒成分であるソラニンが含まれています。
あらかじめそれらが確認できる場合には避けるようにし、保存中に芽が出たり緑色になってきたりしたら、しっかりと取り除いて食べましょう。
保存は紙袋に入れるか新聞紙でくるんで、風通しの良い冷暗所で行います。
じゃがいもの食べ方
味が淡泊で、あわせる素材や調味料を選ばずに使うことができます。品種の粉質か粘質かという特性を理解して、適したメニューで使い分けたいところです。
ビタミンCが豊富な点をさらに活かすには、鉄分豊富な食材とあわせるのも良いでしょう。
吸収率の低い鉄分がビタミンCの助けで吸収が良くなります。ほうれんそうなどの緑黄色野菜の鉄分をじゃがいものパワーで上手にとり入れましょう。
じゃがいも まとめ

つまり私たちはじゃがいもの茎が肥大した部分を食べているのです。
じゃがいもは土から掘り返して食べるので、根を食べていると思っておられる方も少なくありませんが、実は茎。ですから、芽が出てきます。
芽に含まれるソラニンにはくれぐれもご注意を。
そしてエネルギーがある程度含まれていることを認識しつつ、ビタミン・ミネラルの供給源として利用していきましょう。