私たちの食生活が豊かになり過ぎたがゆえに、ときに「栄養のないこと」がむしろありがたいとされる風潮がありますが、もやしはその最たるものではないかと思います。
エネルギーの心配をせずにたっぷり食べることのできる食材です。

もやしの種類
もやしというのは植物名ではなく、豆類や穀物などを発芽・伸長させたものを指すので、そのもととなった豆類・穀類によって種類があります。
一般的なもやしは「緑豆もやし」、韓国料理などによく利用されるのが「大豆もやし」、それから発芽・伸長させたという点ではアルファルファも別名「糸もやし」と呼ばれることもある、もやしの仲間です。
よく売られているもやしの中には、「ブラックマッペ」という豆を発芽させたものもあります。
もやしの栄養
もやしは植物が発芽・伸長した状態なので、実は植物の活性のあるとき。豆や穀類の状態ではほとんど持っていなかったビタミンCが増えてきます。
ビタミンB群やカリウムも豊富なうえ、食物繊維の供給源ともなります。
また大豆もやしなどには、大豆が本来持っているたんぱく質も含まれていて、もやしは決して栄養のない食べ物ではないことがわかります。
りょくとうもやし | だいずもやし | アルファルファ | |
エネルギー | 14キロカロリー | 37キロカロリー | 12キロカロリー |
たんぱく質 | 1.7グラム | 3.7グラム | 1.6グラム |
不溶性食物繊維 | 0.1グラム | 0.2グラム | 0.1グラム |
水溶性食物繊維 | 1.2グラム | 2.1グラム | 1.3グラム |
カリウム | 69ミリグラム | 160ミリグラム | 43ミリグラム |
ビタミンB1 | 0.04ミリグラム | 0.09ミリグラム | 0.07ミリグラム |
ビタミンB2 | 0.05ミリグラム | 0.07ミリグラム | 0.09ミリグラム |
ビタミンB6 | 0.05ミリグラム | 0.08ミリグラム | 0.10ミリグラム |
葉酸 | 41マイクログラム | 85マイクログラム | 56マイクログラム |
ビタミンC | 8ミリグラム | 5ミリグラム | 5ミリグラム |
※すべて 生 100グラムあたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
もやしの健康効果
エネルギーが少なく、シャキシャキとした食感で噛みごたえもあるため、ダイエットに向いている食材です。
クセのない味ですから、かさ増しするにも本来の味わいを邪魔することなく加えることができます。
ダイエット時にもしっかりと摂取したいビタミン類・ミネラル類もきちんと含まれているほか、食物繊維が含まれている点も優秀です。
もやしには、ビタミンCやビタミンB群、カリウムなどが含まれているのです。
豆が発芽する前の状態では含まれていないビタミンCが、もやしとして発芽することで増えるというのが、ありがたいですよね。
ビタミンCはストレスを感じる時には消耗が激しくなりますから、意識してきちんと摂りたい栄養素。
ダイエットによって乱れがちなお肌のコンディションにもコラーゲンの生成を助ける作用で役立ちます。
鉄の吸収も助けてくれますから、ダイエットの大敵である貧血予防にも鉄を含む食材とあわせて摂っておきたい栄養素です。
ビタミンB群はエネルギー代謝に欠かせない栄養素で、ビタミンB1やビタミンB2が豊富であることから、エネルギーがしっかり補給され疲労しにくい、あるいは疲労回復に効果があると考えられます。
体内の余分なナトリウムを排泄してくれるカリウムも含有していますから、高血圧などの予防にもぜひ摂っておきたい食材です。
ダイエットをするとどうしても食べる量そのものが少なくなるので、便を形成する材料が不足しがち。当然便意を感じにくく、便秘がちになってしまいます。
その点不溶性食物繊維がしっかり含まれているもやしは、便の材料となってくれますので、排便にも役立ちます。
ダイエット時は排泄もうまく行くと結果が出しやすいので、まさにダイエット向きの食材なのです。
もやしの選び方
太くて白いものがおいしいとされています。先端はしっかりしていて、ひげ根は変色していないようなものを選びましょう。
かつてもやしは水につけられて売られていましたが、ビタミンB群やビタミンC、カリウムといった水溶性の栄養素が損失してしまうため、最近では袋売りが主流です。
日持ちはあまりよくないので、使う日に買って食べきるようにしましょう。保存は冷蔵室で行います。
もやしの食べ方
ひげ根はとった方が口当たりは良くなりますが、水にさらしながらひげ根を取っていると栄養素が流失してしまいますので、気をつけましょう。
ビタミンCの抗酸化作用を相乗効果で得るためには、ビタミンEを含む種実類や、β-カロテンを含む緑黄色野菜と合わせると良いでしょう。
緑黄色野菜にニラやほうれんそうを選ぶと鉄分も含まれるので、ビタミンCが吸収を助ける、好相性な組み合わせとなります。
水分も多く、シャキシャキとした食感が楽しめますので、あまり火を通し過ぎないのがポイントです。
もやし まとめ

飽食でも栄養素のバランスが悪くて、栄養失調になることもある今の時代。過剰なものと不足していうものの凸凹がうまくかみ合っていないのかな、と感じます。
もやしはまさにその凸凹のバランスがちょうど私たちの足りないところを埋めてくれて、過剰なものが少ないという絶妙な加減なのです。
水耕栽培によって安価で安定的に入手することもできる、家計面でも味方となってくれる食材です。
「栄養がないもの」などと軽視せず、食卓のバランスを取ってくれる貴重な食材として活用してください。