日頃私たちが食べている芋類には、根の塊を食べている部分と茎の塊を食べている部分があることを、ご存知でしょうか?
たとえばさつまいもは根が肥大した部分を食べていますが、じゃがいもは茎が肥大した部分を食べているのです。
じゃがいもと同じように茎が肥大した部分を食べている芋に、さといもがあります。

ずいきとは
ずいきとは、さといもの品種のうち、えぐみの少ない品種の葉柄部分を食用としているもののことです。
茎が肥大したといっても芋として地中に埋まっている部分だけでなく、地上に茎をのばして大きな葉もつけています。
この、芋と地上の葉をつないでいる部分をずいきとして利用しているのです。
ずいきには青ずいき、赤ずいき、白ずいきがあります。高知県特産のはすいもは青ずいきの一種です。一般的には赤ずいきが多く見られます。
ずいきの栄養
植物としては芋類とはいえ、日頃芋として利用している部分とは異なる部位であるため、ずいきの栄養は芋類とは異なります。
食品成分表上の分類でも、「いも及びでんぷん類」にではなく「野菜類」に掲載されています。したがって、エネルギー値はそれほど高くありません。
まずなんといっても豊富なのが食物繊維。なかでも不溶性のものを多く含みます。
そのほか、カリウム、マンガン、カルシウム、亜鉛などのミネラル類を多く含みます。
また赤ずいきの色素はアントシアニンによるものです。
エネルギー | 16キロカロリー |
炭水化物 | 4.1グラム |
水溶性食物繊維 | 0.4グラム |
不溶性食物繊維 | 1.2グラム |
カリウム | 390ミリグラム |
カルシウム | 80ミリグラム |
亜鉛 | 1.0ミリグラム |
マンガン | 2.24ミリグラム |
β-カロテン | 110マイクログラム |
α-トコフェロール(ビタミンE) | 0.4ミリグラム |
※すべて ずいき 生ずいき 生 100グラムあたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
ずいきの健康効果
不溶性食物繊維といえば、大切な腸のお掃除役。ずいきにも多く含まれており、シャキシャキとした食感がありますから、しっかりと噛む必要があります。
噛むことは唾液の分泌を促進しますし、満腹感を感じやすくなるため、食べ過ぎを防止することができます。
私たちの持つ消化酵素で消化できないということは胃の中での滞留時間も長くなりますので、満腹感が継続しやすく、ダイエットのサポートにもってこいの栄養素です。
水には溶けず水を吸収して数倍から数十倍に膨らみ、腸管を刺激してくれます。
腸の蠕動運動が活発化されるうえ、水分を吸収したボリュームのある便が形成されますから、排便がスムーズになります。
ダイエットを過度に行うとしばしば便秘に悩まされます。
もともと便を形成する材料となりものが不足していることに加え、水分が足りずカチコチの便は排泄に一苦労するのです。
便が排出されるときには腸内の有害物質の排出も促進してくれるため、腸内に有害なものがとどまりにくく、つまり大腸がんをはじめとする発がん予防につながるのではないかと考えられています。
便秘改善によりコレステロールなどの物質も排泄されますから、血中脂質バランスの調整に役立ちます。
動脈硬化予防の観点からも、食物繊維の積極的な摂取が望まれます。
ずいきは野菜類のなかでは、マンガンを豊富に含む食品です。
マンガンは糖質・脂質・たんぱく質の代謝に働く多くの酵素の構成成分です。
したがってマンガンの不足はエネルギー切れを起こしやすく、疲労を感じてしまいます。
また骨の形成にも関与していますから、丈夫な骨の維持にも欠かせません。インスリンの生成にも関わっているため、血糖値を下げる作用もあります。
過剰に発生した活性酸素は私たちの身体をさびさせてしまい、種々の生活習慣病や老化の原因となります。
活性酸素を分解する成分として酵素SODが知られていますが、マンガンはその構成成分でもあります。
細胞膜の酸化を防ぐなどして、私たちの身体を守ってくれているのです。
もちろん体内脂質の酸化予防にも、抗酸化作用を持つ物質は大切ですね。
ずいきの選び方
ずいきは生のものが30センチメートルくらいの長さに切られ、パックされて野菜売り場に並べられているほか、乾燥品は「いもがら」として出回っています。
生のものは泥付きのものの方が日持ちしやすいのですが、実際にはきれいに土が落とされている状態を見かける方が多いかもしれません。
青ずいきのはすいもは、皮の緑が明るく、切り口が白くきれいなものを選ぶようにしましょう。切り口が変色しているものは鮮度が落ちてきています。
乾燥品の場合には、変色しているようなものだとアクが強いこともあるので、避けた方が良いでしょう。
ずいきの食べ方
生のずいきはアクが強いので、アク抜きをしてから使います。皮をむいて30分ほど塩水にさらしたあと、酢を加えたお湯でゆがいて食べるようにしましょう。
シャキシャキとした食感が魅力です。酢漬けや酢味噌あえなどで楽しまれます。
はすいもは断面を見てみると、小さな空洞がたくさんあるのがわかります。そのため味がしみこみやすく、煮物やきんぴらなどの炒め物にしても楽しめるでしょう。
ずいき まとめ

さといもは茎の塊なのですが…というところから話すとさらに驚きがあるようです。
日頃私たちは多くの命をいただいているわけですが、それが植物のどの部分なのかまで考えて食べる機会は少ないかもしれません。
そういった意味で、ずいきは面白い存在だと言えるのではないでしょうか。