ホクホクとした味わいが魅力のいも類のなかで水分が多めなさといもは、少し変わった存在感を発揮しています。
ぬめりが多くて調理しにくいイメージもあるかもしれませんが、そのぬめりもまた健康効果の期待できる成分です。

さといもの種類
さといもは、親芋と呼ばれる大きな芋を栽培していって、親芋の周りに子芋と言われる芋が育っていくような育て方をします。親芋と子芋の両方を食べるものもあれば、子芋だけを食べるものもあります。
「石川早生」「土垂」といったよく見かける品種は子芋を食べる品種ですが、お正月のときに楽しむ「八つ頭」もさといもの仲間で、こちらは親芋も子芋もどちらも食べます。
また葉柄の部分も「ずいき」と呼ばれて、野菜として食べられています。シャキシャキとした歯ごたえのある部分ですので、油炒めなどに向いています。
さといもの栄養
さといものぬめりは「ムチン」や「ガラクタン」という成分です。これは炭水化物とたんぱく質が結合して生まれるもので、いも類になかでさといもは比較的多くたんぱく質も含んでいます。
炭水化物では糖質だけでなく食物繊維も豊富です。そのほか、ミネラルではカリウム、ビタミンではビタミンEやビタミンB群などを含んでいます。
炭水化物を多く含むいも類の中では、比較的エネルギーが低めなところもうれしいですね。
エネルギー | 58キロカロリー |
水溶性食物繊維 | 0.8グラム |
不溶性食物繊維 | 1.5グラム |
カリウム | 640ミリグラム |
α-トコフェロール(ビタミンE) | 0.6ミリグラム |
ビタミンB1 | 0.07ミリグラム |
ビタミンB6 | 0.15ミリグラム |
葉酸 | 30マイクログラム |
※いずれも さといも 球茎 生 100グラムあたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
さといもの健康効果
ムチンやガラクタンといったぬめり成分を持つことが、さといもの最大の特徴だといえるでしょう。
ムチンは胃の粘膜をうるおして保護する働きがあるとされています。胃腸にやさしく、消化を促す作用で、便秘解消にも役立ちます。
また肝臓や腎臓の機能を高める作用が期待され、細胞が活性化して老化防止につながると考えられています。
唾液腺ホルモンの分泌を促進するため、食欲増進に働きかけスタミナ増強につながります。
ガラクタンは食物繊維の一種で、血液中のコレステロールを減少する働きや、血圧を下げる働きで種々の生活習慣病予防に効果が期待できます。
また、脳細胞に作用して老化防止をしたり、免疫力も高めるのでがんの予防への効果を持ったりしていることも期待できると考えらえています。
抗酸化作用のあるビタミンEを含み、血行改善にも効果がありますので、温かい汁物の具材などにはピッタリの食材だと言えるでしょう。
またカリウムも豊富であることから体内の余分なナトリウムの排泄に働きます。
汁物では味噌・塩・しょう油と味付けが塩味に偏りやすいので、具材に入れるさといもでカリウムが補える、うれしい組み合わせです。
さといもの選び方
泥付きのままで購入するのは抵抗があるかもしれませんが、表面が乾きにくいのでオススメです。
皮に傷やヒビ割れがなく、押してみてふかふかしないようなものを選びましょう。
また皮に緑色になっている部分は日焼けして起こっていることが多いので、緑色の部分が無いようなものを選ぶようにしましょう。
乾燥や寒さには耐久性が低いので、冷蔵庫保存は適していません。
さといもの食べ方
さといもの調理で敬遠されるのが、皮をむくときに手がかゆくなってしまうところではないかと思います。これは、さといもに含まれるシュウ酸が原因と考えられます。
調理の際にさといもを酢水につけたり、手指に酢や塩をつけたりしてからむくと、かゆみが和らげられます。
ぬめり成分は健康効果が期待できるので、長時間火を通し過ぎてぬめり成分を落とし過ぎないように気をつけましょう。短時間でゆでて、でてきてしまったぬめりだけをさっと水で洗い流す程度に処理をすると良いでしょう。
蒸すとシュウ酸は除去できませんがぬめり成分は多く摂取できるので、時には違った調理法も取り入れてみていただくと良いと思います。
汁物の具材として食べる際には、水に溶けだしやすいカリウムもしっかり補給できるよう、汁までしっかり食べるようにしましょう。
さといも まとめ

地方によっては「芋煮会」が催されますが、ここで活躍するのもさといも。豊作や子孫繁栄の願いが込められている、秋の味覚の一つなのです。
古くから食べられているせいか和食のイメージが強いのですが、実は乳製品とあわせてもクリーミーで、水分多めでねっとりとした味わいがよく合います。
グラタンなどの洋食でも楽しむことができますので、季節感のある芋類として、また寒くなる前からの風邪予防として、手に取ってみてください。