主食を選ぶときに栄養面を考慮したいとお考えの方には、「白くないものを選ぶ」とオススメするのが、一つのパターンになっています。
「白くない」とはつまり、お米だったら精白米よりも玄米、小麦粉だったら薄力粉や強力粉よりも全粒粉ということ。
同様の考え方で麺類を考えると、うどんよりもソバとなるわけです。
この見分け方のポイントは食物繊維の含有量。より食物繊維の多いものを選ぶと、エネルギーは抑えやすく、血糖値も上がりにくい、さらには排泄効果も期待できるというわけです。
ところでソバですが、主食として食べることから穀類に分類されることが一般的です。
しかし植物学的に言うとほかの穀類と同様に分類するには少し性質が異なるのです。それは栄養価の面でも言えること。

ソバ(蕎麦)の種類
ソバは播種・収穫される時期によって、「夏ソバ(春に播種・夏に収穫)」「秋ソバ(夏に播種・秋に収穫)」と分かれます。
「新ソバ」と言われる場合には、一般的には秋ソバを指します。
ソバ殻の色によって、赤ソバ(褐色)・黒ソバ(黒褐色)・銀ソバ(灰色)などと分けることもあります。
私たちが食べているお蕎麦は、ソバの実をひいたものです。内層粉は真っ白ですが、ひいていくうちにある程度殻や種皮がひき込まれます。
ソバは加工品も多く、ソバぼうろやソバまんじゅうのような菓子にしたり、ソバ焼酎やソバ茶といった飲料に加工したりして、思いのほか幅広く楽しまれています。
ソバ(蕎麦)の栄養
ソバを食べるのは日本だけではありません。ソバはグルテンフリーの主食原料として重宝されています。なおかつ食物繊維を水溶性・不溶性ともに豊富に含んでいます。
一般に穀類はたんぱく質の含量が少なく、なおかつ必須アミノ酸のバランスがあまり良くないことが多いのですが、ソバは異例で、穀類に不足しがちなリシンも含んでいることから、たんぱく質の摂取面でも比較的優秀な組成になっています。
機能性成分では、フラボノイドの一種であるルチンを含んでいます。
エネルギー | 274キロカロリー |
たんぱく質 | 9.8グラム |
炭水化物 | 54.5グラム |
水溶性食物繊維 | 1.0グラム |
不溶性食物繊維 | 1.7グラム |
カリウム | 160ミリグラム |
鉄 | 1.4ミリグラム |
亜鉛 | 1.0ミリグラム |
ビタミンB1 | 0.19ミリグラム |
ビタミンB2 | 0.09ミリグラム |
ビタミンB6 | 0.15ミリグラム |
葉酸 | 19マイクログラム |
※すべて そば 生 100グラムあたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
ソバ(蕎麦)の健康効果
機能性成分であるルチンは、ソバの特徴的な成分です。ビタミンPとも呼ばれることのある、ビタミン様物質の一つです。
ルチンはビタミンCの研究中に発見されたと言われています。体内でもビタミンCとともに働き、毛細血管を強くしてくれます。
年齢とともに毛細血管は弱くなっていきますので、ルチンの摂取はその予防に働き、またルチンの欠乏は動脈硬化や高血圧、脳血管障害などの症状を引き起こしやすいと考えられていますので、血中脂質バランスに不安を感じている方であれば、意識して摂取しておきたい成分です。
ルチンは水溶性ですから、ソバを食べた後にソバ湯を飲むような習慣も、理にかなっていることがわかります。
そのほか、ビタミンCを多く含む野菜や果物などとあわせて食べるのが、より効果的な摂取方法です。
食物繊維は水溶性・不溶性ともに豊富です。
ともに便通を整えてくれる働きはもちろん、不溶性食物繊維は腸内細菌のエサとしても使われ、腸内環境を改善してくれます。
水溶性食物繊維はブドウ糖の吸収を緩やかにしたり、コレステロールの吸収を抑制したりする働きで、さまざまな生活習慣病の予防に有効です。
ソバはしっかりとした噛みごたえがあり、しっかり咀嚼を必要とする食べ物です。噛むことは満腹感を感じながら食べ進めるために、大切な行為です。
食べ過ぎを助長しないためにも、香りを楽しみながらしっかり噛んで食べましょう。
ソバ(蕎麦)の選び方
ソバ粉の割合で、「二八そば」「十割ソバ」などと分かれますが、このあたりはお好みで選ばれると良いでしょう。
ルチンはほかの穀類からの摂取が期待できませんので、何度かに一度のお食事の選択肢にソバを加えてみることからはじめてみてはいかがでしょうか。
ソバ(蕎麦)の食べ方
ソバとして食べるほか、ソバ粉はガレットの原料でもあります。
ソバはアメリカでもパンケーキの材料として親しまれていると言いますから、主食をソバに置き換えることばかりでなく、おやつ的に加工してみたり、洋食の主食にしてみたりする方法でも取り入れることができます。
またソバは古くから粒をソバ米としても食べられてきました。お米と混ぜて炊いてみたり、雑炊やお茶漬けにしてみたりなど、思いのほかアレンジはいろいろできそうです。
それでも主食の置き換えが難しい場合には、ソバ茶を試してみてはいかがでしょうか。
ソバ(蕎麦)まとめ

主食の選択肢がたくさんある中では目が向かないこともあるかと思いますが、ソバは独特な健康効果が期待できる食材です。
意識してソバの回数を増やしてみる価値があるのではないかと思います。