「ナッツの女王」と呼ばれることもある、ピスタチオ。きれいな緑色で、アイスクリームやケーキでも人気のフレーバーとなっています。
お値段も高めでまさに女王の風格ではありますが、ナッツ類には珍しく色鮮やかな見た目はきれいなだけでなく、栄養価の高さにも反映されます。

ピスタチオとは
ウルシ科の落葉樹になる種実です。長卵形で果肉は薄く、果実の核内が緑色や黄色の、胚乳部分を食用としています。
イランやトルコなどの乾燥地で生産されていますが、シチリア産のものはピスタチオの中でも高級品として扱われます。
殻付きのまま炒られたものをお酒のつまみとして割りながら食べる印象がありますが、ペーストなどにも加工されており、ケーキやアイスクリーム、焼き菓子などに使われます。
ほかのナッツ類とは少し異なる、独特の風味を持っていて香り高い味わいです。
ピスタチオの栄養
種実類全般にいえることではありますが、脂質が多いことからエネルギーはしっかりあります。
ついつい手が伸びてしまうものの、食べ過ぎには注意したいところ。いちいち殻を割りながら食べるピスタチオは、食べ過ぎ防止には適した形状ですね。
栄養価は高く、ミネラル類・ビタミン類も豊富です。
ミネラル類ではカリウムや鉄、カルシウムなど日頃から意識して摂取したいものがしっかり含まれています。
ビタミン類では代謝に欠かせないビタミンB群を幅広くカバーしているほか、脂溶性ビタミンもβ-カロテン、ビタミンE、ビタミンKと含有しています。
脂質が多いことから、脂溶性ビタミンの吸収もしやすい形となっています。
脂肪酸組成の内訳では一価不飽和脂肪酸が多く、また必須脂肪酸であるリノール酸なども含有しています。
エネルギー | 615キロカロリー |
たんぱく質 | 17.4グラム |
脂質 | 56.1グラム |
飽和脂肪酸 | 6.15グラム |
一価不飽和脂肪酸 | 30.92グラム |
多価不飽和脂肪酸 | 16.42グラム |
水溶性食物繊維 | 0.9グラム |
不溶性食物繊維 | 8.3グラム |
カリウム | 970ミリグラム |
カルシウム | 120ミリグラム |
マグネシウム | 120ミリグラム |
鉄 | 3.0ミリグラム |
銅 | 1.15ミリグラム |
β-カロテン | 120マイクログラム |
α-トコフェロール(ビタミンE) | 1.4ミリグラム |
ビタミンK | 29マイクログラム |
ビタミンB1 | 0.43ミリグラム |
ビタミンB2 | 0.24ミリグラム |
ビタミンB6 | 1.22ミリグラム |
葉酸 | 59マイクログラム |
※すべて ピスタチオ いり 味付け 100グラムあたりの値。
ピスタチオの脂肪酸(100グラムあたり)
飽和脂肪酸(6.15グラム) | パルミチン酸、ステアリン酸など |
一価不飽和脂肪酸(30.92グラム) | パルミトレイン酸など |
多価不飽和脂肪酸(16.42グラム) | リノール酸、α-リノレン酸など |
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
ピスタチオの健康効果
ピスタチオは脂質含有量が高いにも関わらず、血中コレステロール値低下に期待が寄せられる食材です。これは不飽和脂肪酸の含有量が多いことが影響していると考えられます。
リノール酸はn-6系多価不飽和脂肪酸の一種で、食事から摂取する必要のある必須脂肪酸でもあります。コレステロール値を下げる働きが知られています。
あまり摂り過ぎてしまうと善玉であるHDL-コレステロールまで下げてしまいますが、適度の摂取であれば血中脂質バランスの改善にうれしい効果を発揮してくれます。
また血圧を下げる働きも知られているので、多くの生活習慣病予防に期待ができます。
α-リノレン酸も含有しています。α-リノレン酸はn-3系多価不飽和脂肪酸で、やはり必須脂肪酸の一つです。
体内ではEPAやDHAへと代謝されるので、血中コレステロール値の改善に働きます。
このほか、ピスタチオにはルテインやゼアキサンチンなども含まれています。
ルテインは抗酸化作用を有する黄色い色素成分。活性酸素の害から身体を守ってくれるので、細胞の老化やがん化を防いでくれます。
ゼアスキサンチンも黄色い色素成分で、抗酸化力を発揮してくれます。血中コレステロールの酸化を防いで、動脈硬化を予防・改善する効果が期待できます。
このほかピスタチオにはビタミンEやβ-カロテンのように抗酸化作用を持っている栄養素も豊富に含まれていますので、抗酸化力については複数の成分が働きかけてくれることがわかります。
ピスタチオの選び方
製菓材料などでまれに生のものが入手できますが、通常は殻付きのまま炒ってあるものを買い求めることが多いでしょう。
すでに炒ったナッツ類は脂質の酸化がおこらないように、袋がしっかり密封されているかを確認して買い求め、開封後もできるだけ空気に触れないように気をつけましょう。
湿気を含むと香りが悪くなってしまいます。
ピスタチオの食べ方
お酒のおつまみとして食べることが多いと思いますが、エネルギーは高いので食べ過ぎに注意しましょう。
ただピスタチオにはカリウムも豊富に含まれているので、アルコールで利尿効果が促進されて失われがちなカリウムを補うことができるという利点もあります。
ピスタチオ まとめ

たしかにその通りなのですが、実は「種実類」というくくりには、あまり植物学的な要素は考慮されていないのです。
植物の種や実を食べるものを「種実類」とまとめているだけ。つまり各種ある種実類には共通点もありますが、それぞれに個性もあるということ。
ピスタチオはその中でもひと際、女王の風格を思わせる個性を持っていますね。