メロンは野菜でしょうか、果物でしょうか。多くの方が「果物」とお答えになるかもしれませんね。なんといってもあの芳醇な香りとしっかりとした甘さは、いかにも果物です。
でもウリ科植物のメロン、一年で実をつけて枯れますから植物学的に分類してみると野菜と考えることもできるのです。
「果実的野菜」などと言われます。食べられ方は果物のように楽しまれているけれど、実際は野菜である植物を表現しています。

メロンの種類
メロンというと「高級品!」というイメージが強い食材ですが、品種は豊富で高級なものばかりでなく、手に取りやすいものもあります。
高級なものと言えば「マスクメロン」でしょうか。皮にネットがあって、果肉の色は緑色。香りが高く「ムスク」からその名がつけられたとも言われています。
同じネットがあり緑色の果肉のメロンでも、小ぶりメロンの「アンデスメロン」はお手頃なメロン。栽培する側だけでなく買う側も「安心です」から「アンデス」となった、庶民の味方のメロンです。
メロンというと果肉がオレンジ色のものもありますよね。「夕張メロン」や「クインシー」といった種類は、赤系メロンと分類されます。果肉の色が赤いものは緑のものと比較してβ-カロテンが豊富です。
果肉の色以外にも、ネットのある・なしでも種類が分かれます。ネットのないメロンには「プリンスメロン」「キンショウメロン」「ハネデューメロン」といったものがあります。
「ハネデューメロン」は「Honey dew(蜜のしずく)」という意味から「ハネデュー」となっているそうなので、メロンの名前は甘さや香り高さをうかがわせるものが多いですね。
メロンの栄養
メロンの旬は夏です。暑さの厳しい時に、果糖・ショ糖・ブドウ糖といずれも吸収されやすい糖を含んでいて水分がたっぷりのメロンを食べるとバテた身体にはうれしいチャージとなりますね。
クエン酸も含まれていますので、さらに疲労回復にはオススメです。
栄養素では、カリウムやビタミンCが豊富です。
露地メロン 緑肉種 生 |
露地メロン 赤肉種 生 |
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エネルギー | 42キロカロリー | 42キロカロリー |
水溶性食物繊維 | 0.2グラム | 0.2グラム |
不溶性食物繊維 | 0.3グラム | 0.3グラム |
カリウム | 350ミリグラム | 350ミリグラム |
β-カロテン | 140マイクログラム | 3600マイクログラム |
α-トコフェロール(ビタミンE) | 0.2ミリグラム | 0.2ミリグラム |
ビタミンB1 | 0.05ミリグラム | 0.05ミリグラム |
ビタミンB2 | 0.02ミリグラム | 0.02ミリグラム |
ビタミンB6 | 0.11ミリグラム | 0.11ミリグラム |
葉酸 | 24マイクログラム | 24マイクログラム |
ビタミンC | 25ミリグラム | 25ミリグラム |
※すべて 100グラムあたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
メロンの健康効果
夏の暑いとき、夏バテにはメロンの甘さとクエン酸が疲労回復や夏バテ防止に役立ってくれます。
メロンは甘さもたっぷり楽しめる果物。
甘さは果糖やショ糖、ブドウ糖によるもので、消化吸収が早い糖類です。
エネルギーに変換されやすいため、疲労回復という点では甘さも役に立ちます。
さらにウリ科であるメロンにはカリウムも多く含まれています。
カリウムは体液の浸透圧維持には欠かせない栄養素。
ナトリウムが多すぎれば余分を体外に排泄してくれ、むくみや高血圧を予防してくれますし、カリウムも汗とともに失われやすいのでしっかり補給したいところ。
夏に旬を迎えるメロンで補うのも良いでしょう。
糖を含むと同時に、糖の代謝に欠かせないビタミンB1も含んでいますから、エネルギーを補給するだけでなくエネルギーに変換してくれます。
体内でビタミンAとして働くβ-カロテンも含まれています。
抗酸化作用がある栄養素ですので、旬を迎える夏の強い紫外線の害からも身体を守ってくれますし、粘膜などを健康に保つ役割から冷房などで身体が弱りやすい時期に心強い栄養素です。
このようにβ-カロテンには免疫力を高める働きが知られています。
メロンの選び方
メロンを選び際には、果皮の色が均一で香りが良いかを確認しましょう。ツルがついている場合には、ツルが太いものの方が良品です。
持ってみてずっしりと重みを感じるようなものを選びます。
メロンは食べごろの見極めが大切。やわらかく熟すまでは常温で保存してこれ以上追熟させたくなければ冷やします。
カットしたものは種を取り除いてラップでくるみ、冷蔵庫で保存しましょう。
メロンの食べ方
メロンの食べごろの目安は、香りがでてきてツルがしおれて、果皮が少し黄白色に変化してきた頃です。
おしりの部分を押してみて、少しへこむくらいが良いでしょう。あまり熟しすぎてもおいしい時期を逸してしまいます。
冷すすぎは味が落ちますし、香りも飛んでしまいます。果糖は少し冷えてくらいで甘さを感じやすいので、食べる2時間くらい前から冷蔵庫で冷やして食べるとおいしく召し上がれるでしょう。
種のまわりは甘くてジューシーですが種があって味わえないのが残念。ネットで濾してジュースにすると良いでしょう。
メロンと言えば有名な料理が「生ハムメロン」。生ハムのように塩のきついものも、カリウムたっぷりのメロンと組み合わせるといくらか食塩摂取にも配慮されていて、理にかなった組み合わせです。
生ハムの風味にも負けないしっかりとした香りと味で、まろやかに仕上がりますよね。
メロンは果物のイメージが強いとはいえ、野菜的な一面も持ち合わせています。特に、未熟な果実を使った漬物は、「そういえばメロンってウリ科だった!」と思い出させてくれる一品です。
メロン まとめ

しっかりと甘く食べ応えがある割にはエネルギーが低めな点もうれしいところ。
思いの外、夏にピッタリの健康効果も持ち合わせていましたね。
桐箱に入ったものばかりでなく、お手頃に楽しめるものもおいしい品種がたくさんありますので、不足しがちな果物の補給に、メロンも選んでみてください。