煮つけがおいしい白身魚として人気のかれい(鰈)。
かつてはお惣菜の定番魚で庶民の味として親しまれてきましたが、最近ではやや高級魚のように扱われることもあるようです。

かれい(鰈)の種類
かれいは夏に旬を迎えますが、寒くなると卵を持った子持ちがれいが出回るので、冬にも楽しまれる魚です。
まがれい、まこがれい、いしがれい、めいたがれいなど、種類も多くあります。
まがれいは体長20センチメートル程度の小型のものが多く、比較的安価で入手のしやすい種類。
高級品種は、かつかわがれいやめいたがれい。また子持ちとなる寒い時期のまこがれいはヒラメを超える高級魚へと変身します。
ちなみにかれいは平たい形をした魚ということで、ヒラメとの区別がやや難しいですよね。
例外もあるようですが「左ヒラメに右かれい」と言われていて、おなかを手前に置いたときに目が左にくるか、右にくるかで見分けられていたようです。
ただし今や、回転寿司などで「ヒラメのエンガワ」として並べられているものの多くは、外国産のカラスガレイなどだと言いますから、日頃食べているものを区別するのは、困難なのかもしれませんね。
かれい(鰈)の栄養
淡泊な白身魚として、良質なたんぱく質を供給してくれます。低脂肪高たんぱくはエネルギーコントロールにも役立ちます。
エネルギー代謝に欠かせないビタミンB1、ビタミンB2などをはじめとするビタミンB群も含んでおり、そのほかのビタミンではビタミンDも含んでいます。
特徴の一つであるえんがわ部分にはコラーゲンが含まれています。また、機能性成分のタウリンも豊富です。
まこがれい 生 | 子持ちがれい 生 | |
エネルギー | 93キロカロリー | 143キロカロリー |
たんぱく質 | 18.0グラム | 19.9グラム |
脂質 | 1.8グラム | 6.2グラム |
飽和脂肪酸 | 0.31グラム | 1.13グラム |
一価不飽和脂肪酸 | 0.35グラム | 1.72グラム |
多価不飽和脂肪酸 | 0.56グラム | 1.70グラム |
コレステロール | 66ミリグラム | 120ミリグラム |
カリウム | 290ミリグラム | 290ミリグラム |
カルシウム | 46ミリグラム | 20ミリグラム |
鉄 | 0.4ミリグラム | 0.2ミリグラム |
ビタミンD | 6.7マイクログラム | 4.0マイクログラム |
α-トコフェロール(ビタミンE) | 1.5ミリグラム | 2.9ミリグラム |
ビタミンB1 | 0.12ミリグラム | 0.19ミリグラム |
ビタミンB2 | 0.32ミリグラム | 0.20ミリグラム |
ナイアシン | 3.1ミリグラム | 2.4ミリグラム |
ビタミンB6 | 0.21ミリグラム | 0.15ミリグラム |
ビタミンB12 | 1.8マイクログラム | 4.3マイクログラム |
葉酸 | 8マイクログラム | 20マイクログラム |
パントテン酸 | 0.67ミリグラム | 2.41ミリグラム |
※すべて 100グラムあたりの値。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
かれい(鰈)の健康効果
高たんぱく質、低脂肪とエネルギーコントロールに適した素材であり、多くのビタミン類・ミネラル類を含んでいますから、体調管理に整えておきたい栄養バランスの摂取には、非常に優れた食材であると言えるでしょう。
エネルギーをきちんと供給してくれるだけでなく、代謝に必要となる栄養素まで、しっかり摂取することができます。
加えて、機能性成分のタウリンが含まれています。タウリンは魚介類に多いアミノ酸の一種で、血圧やコレステロール低下作用が期待される成分です。
タウリンには交感神経を抑制する作用があるため、高くなりがちな血圧を静めてくれるのです。
また肝臓では、胆汁酸の分泌を促進し、コレステロールの排泄を促してくれます。
肝機能を高めてくれますから、高コレステロールを原因とする種々の症状の予防に働いてくれます。コレステロール胆石の溶解もすると期待されています。
えんがわからはコラーゲンを摂取することができます。
コラーゲンを摂取してもコラーゲンのままで吸収されるわけではありませんが、コラーゲンは私たちの身体の構成要素として重要な働きをしています。
コラーゲンを摂取することで血管を丈夫にしておくことも、高コレステロール体質の対策としては大切なことです。
かれい(鰈)の選び方
ふっくらとした身を楽しむ魚ですから、身に厚みのある、触ってみて硬いものを選ぶようにしましょう。皮目につややぬめりがあるものが良品です。
独特な形をしていますから、尾まで身が入っているかも、よく観察しましょう。
保存の際は、頭と内臓は取り除き、洗ったのちによく水気をとってペーパータオルに包んでからラップをしましょう。
かれい(鰈)の食べ方
かれいを楽しむうえで気にしたいのが、旬を迎える時期。
夏に旬を迎えるものは、高たんぱく低脂肪の味わいで、くせがなく食べやすい白身魚。
塩焼き、煮つけ、から揚げなどにしても楽しめます。
せっかくの低エネルギーですから揚げ物にしてしまうのは、栄養の観点からはやや残念ですが、衣をつけずにから揚げにする場合は、その他の揚げ物よりはいくらか給油率も下がります。
たっぷりの野菜をあんかけの具などにしてあわせて食べるなどするのも良いでしょう。
魚油の摂取という観点では、やはり卵を持つ時期の子持ちがれいが優れていますが、エネルギーもその分高くなります。
また、気をつけたいのが魚卵部分。コレステロールの含有量が高くなってしまいますので、摂取の際は頻度と量に気をつけましょう。
かれい(鰈)まとめ

おいしいということにかけては、それぞれの時期の楽しみ方があるものの、血中コレステロール値を気にしながら摂取するうえでは、旬の時期による違いはきちんと把握しておくべき性質でしたね。
子持ちがれいもせっかくの旬の味わいですから、まったく食べないということではなく、量と頻度を意識した取り入れ方をなさってください。